記念日などにもらったバラの花束を、1日でも長く楽しむにはどうすればいい…?そこで、農家に切り花のバラを長持ちさせるコツを教わりました。
教えてくれたのは、農薬を使わずハーブエキスを使った病害虫の予防法でバラを育てる「ひかりフラワー」の中村久子さん、裕美子さんです。
コツ1 バラの茎(花枝)は「斜めに切る」
バラの切り花を花瓶にいれて飾ったのに、すぐにしおれてしまった…という経験はありませんか?
「まずは茎についたゼリー状の吸水材などを取り除き、花切りバサミなどで茎を斜めにカットしましょう。こうすると、切り口の断面積が増えて、水の吸い上げがよくなります。切った後はすぐに花びんに生けてくださいね」(久子さん)
「切ったバラは花瓶の水中からしか栄養を吸収できません。清潔な水が大好きなので、切り口の様子に注意しながら花瓶の水は毎日替えてください。切り口がふやけたり、ぬめりが出てきたら、その都度カットして水を吸い上げやすくしましょう」(久子さん)
コツ2 水に浸かる部分の葉、とげはすべて取り除く2つめのコツは、花瓶の水の雑菌繁殖を防ぐこと。
「花瓶に葉が浸かっていると、雑菌が繁殖する原因に。雑菌が増えると、水や栄養分をうまく吸い上げられず、枯れやすくなります」(久子さん)
「花瓶の中で隣り合う花がある場合、とげで互いの茎を傷つけてしまうこともあります。生ける前に水に浸かる部分の葉やとげはすべて取り除きましょう」(久子さん)
※アレンジメント時にとげが取り除かれている場合もあります。
コツ3 花瓶に水をたっぷり入れる
「花瓶には、たっぷりと水を入れることもポイント。高さの8割ぐらいまで水を注ぎましょう」(久子さん)
深めに水を入れると、水圧の効果でバラが水を吸い上げやすくなります。
ここで、久子さんがバラをうまく生けるちょいワザを教えてくれました。
「花首が下を向いているバラがあったら、他の花やグリーンの茎を支えにしてその上にバラをもたせかけるようにしましょう。ぐらぐらせず、花がきれいに見えますよ」(久子さん)
コツ4 開きにくいバラは「茎の切り口を火であぶる」バラの切り花の中には、つぼみがあることも。花が開くのを楽しみに待っていてもなかなか開かず「このまましおれてしまうのでは?」と心配になることがあります。
「下の写真の左の蕾のように硬く閉じている場合、咲かせるのは難しいかも。でも、右の少し開きかけたものなら、茎の切り口をあぶって開かせることができます」(久子さん)
やり方1.新聞紙でバラを茎ごとくるみ、下部から茎を10㎝ほど出す。
2.くるんだ新聞紙をセロテープで留め、ボウルに水を張る。
3.茎の切り口を斜めに切る。
4.100円ライターなどで、切り口が黒くなるまであぶる。
5.バラは新聞紙にくるんだ状態で、ボウルの水にあぶった切り口をつける。
農家が語る バラのある生活
「バラを部屋に飾ると、ふわっといい香りがして、その佇まいにも心が癒やされます。特にステイホームが続く今は、たとえ庭がなくても、家の中に植物があると力をもらうことができます。花束をもらって嫌な気持ちになる人はいませんよね。ぜひ、花を生活に取り入れて笑顔になってください」(久子さん)
ひかりフラワー
中村久子さん・裕美子さん
土からこだわり、天然のハーブエキスを使って無農薬のバラ苗の育成を行う。約500品種を取りそろえたバラ園で苗を選んだら、そのまま購入することが可能。ネット販売も行う。バラ農園をはじめて18年目。サステナブルな農業を目指し10年前から無農薬を実践。久子さんと裕美子さん母娘のほかスタッフで農園を営む。営業時間午前10:00~午後5:00。月曜休(営業時間など詳細はホームページで確認を)。
ホームページはhttps://hikarirose.com/