袋から出してそのまま食べられるパックサラダなど、ますます身近な存在になってきたベビーリーフ。さっと作れるサラダのレシピやベビーリーフの種類について生産農家に教わりました。教えてくれたのは毎朝8時に開店するとあっという間に完売する“幻の野菜直売所”を営む農家、苅部嘉也(かりべ よしや)さんです。
ベビーリーフの風味を生かす 特製サラダとドレッシング収穫の合間、おやつの替わりにサラダを食べているという苅部さん。おすすめのベビーリーフの組み合わせと、風味が引き立つドレッシングがあるというので教えてもらいました。
ちぎって簡単 ベビーリーフサラダ「手軽に育てられるので今やベビーリーフはベランダ菜園の定番。採れたてのベビーリーフの洗い方にはコツがあるので、サラダにぴったりなおいしい組み合わせといっしょに紹介します。」(苅部さん)
材料(3人分)ルッコラ…50g
からし菜…50g
わさび菜…50g
水菜…50g
※栽培したものを使う場合は、各4束ほどが目安
作り方1.大きめの洗いおけに水をためる
2.ベビーリーフの根を水に浸し、土をきれいに落とす
3.ベビーリーフ全体を水に浸し、振り洗う
4.5㎝ほどにちぎって和え、皿に盛りつける
「この組み合わせはベビーリーフサラダの基本。ルッコラの風味とからし菜やわさび菜の爽やかな辛味、水菜の食感が絶妙です!ベビーリーフは水中で振り洗いをすれば細かな土やゴミが簡単に落ちます。葉は柔らかいのでちぎればよし」(苅部さん)
サラダに合わせてドレッシングレシピも教わりました。
ポン酢ドレッシング材料(3人分)ポン酢…大さじ3
オリーブオイル…大さじ1
黒こしょう…小さじ1
オリーブオイル&藻塩ドレッシング材料(3人分)オリーブオイル…大さじ2
塩(藻塩がおすすめ)…小さじ1
「ドレッシングはどちらも材料を混ぜるだけなので簡単です。ポン酢ドレッシングはお好みでわさびを入れてもおいしいですよ」(苅部さん)
ベビーリーフ 基本の野菜4選ベビーリーフとは、種まきから30日ほどで収穫した野菜やハーブの若い葉っぱのこと。サラダはもちろん、メイン料理に添えるだけで皿が華やかになる便利野菜です。
ミックスされているものをよく見かけますが、どんな野菜が入っているのでしょうか。先ほどのサラダにも出てきた代表的なベビーリーフを教えてもらいました。
ルッコラ
地中海沿岸原産で、イタリア料理でよく使われるハーブ。ゴマに似た香りとたほのかな辛みで、不動の人気を誇るサラダ野菜です。
「ルッコラのベビーリーフは、辛みがなく、透明感のあるグリーン色。大きくなると色も香味も濃くなるので、ペーストにして肉料理などのソースに使うのもおすすめです。花もサラダで食べられます」(苅部さん)
水菜ギザギザの葉をもち、シャキッとした食感で人気の水菜。京都を中心に親しまれてきた伝統野菜で、もともとは鍋物や漬物などに利用されてきました。そんな水菜がいまやサラダ界で大人気。
「水菜のベビーリーフは、茎の下のほうもシャキシャキしておいしいですよ。大株の水菜は、鍋物にするとまったく違う味わいを楽しめます」(苅部さん)
からし菜深い切れ込みの入った葉が印象的なからし菜。種をすりつぶせば粒マスタードができます。
「からし菜はぴりっとした辛味が特徴ですが、ベビーリーフだとそれほど辛味を感じません。とくに葉の先端がやわらかくておいしいですよ」(苅部さん)
わさび菜フリルのようなひらひらとした葉ときれいなグリーン色が可愛いわさび菜。九州在来のからし菜が変異して誕生したといわれ、その名の通り、わさびに似たほのかな辛味があります。
「ベビーリーフとしておいしいのは、草丈20㎝の頃。大きくなると辛味が強くなります」(苅部さん)
種まきからすぐ防虫ネットをはり“最高においしい瞬間”を狙って収穫します。
「草丈15~20㎝ほどになったら、収穫のタイミング。弾けるようなみずみずしさとやわらかさを楽しめる瞬間です」(苅部さん)
「世田谷の畑の風景を未来に残したくて、農家を継ぎました。地域の方々に安心して新鮮な野菜を食べていただけるよう、ベビーリーフをはじめ、すべての野菜を無農薬で栽培しています。お客さんから“おいしい”と言っていただけることが、やりがいです」(苅部さん)
苅部農園 16代目
苅部嘉也さん
東京・世田谷区出身。約20年、アパレル業界で勤めたのち、妻の実家の苅部農園を継いで就農。一男(小3)の父。世田谷区の住宅街にある15アールの畑で、年間60~70種類の野菜を無農薬で栽培し、畑に併設する直売所には、毎朝8時のオープン前から行列ができる。採りたて野菜がわずか10分ほどで完売することもしばしば。