2022.05.02

遊ぶ・休む

山で遊び放題のサブスクが登場!遊ぶほどに衰退の危機な「林業を助ける」仕組みとは?【遊ぶSDGs】

 昨年の10月、都内にアウトドア森林フィールドがオープンしました。ここが面白いのは、手付かずの自然の中でキャンプや川遊びが思う存分楽しめる、遊び放題の「サブスク」なんです。きっかけは山林を守りたいという思いから始まったとか。負担が大きくて山林を手放す地主が増える中、アウトドアに興味がある人たちを募ることで資金が集まるので、結果林業を助けることに繋がるといいます。詳しく紹介していきます。

【画像を見る】山遊びのサブスクって…?

MOKKI NO MORIって何だろう?


出典:MOKKI NO MORI  FUJIKURA FIELDに流れる清流 

モッキノモリとは東京都檜原村の林業家が立ち上げた、山の中にある会員制のアウトドアフィールドです。

ニュース番組『FNN Live News α』でも取り上げられていました。ここでは同番組の内容にも触れながら、「山遊びのサブスク」について詳しく紹介してみようと思います。

公式サイトによると、その名前には『木に触れ、森に分け入り、山に浸りながら、生きることを見つめなおす場所、それがMOKKI NO MORI(モッキノモリ)』という思いが込められているそうです。

年会費はシングル会員11万円(9167円/月)、ファミリー会員13万2000円(1万1000円/1か月)の2種類があり、会員になれば東京ドーム約10個分、合計45ヘクタールの森林フィールド4か所を時間や回数の制限なく”使い放題”できます!
(使用できるフィールドは混雑を避けるため、定員数が決められています)

ふつうのキャンプ場と何が違う?


出典:MOKKI NO MORI 風の縄文トイレを作っているところ

モッキノモリの特徴は、林業の現場をフィールドとして解放しているところ。

そのため、ふつうのキャンプ場のように整備されているわけではないし、駐車場からも離れています。
お水も各自で持ち込む必要があり、トイレも風の縄文トイレと呼ばれる穴と溝を掘って作られた“屋根付きの簡易小屋”のコンポスト式。

今はやりのおしゃれ&お手軽キャンプとは異なり、本当の意味でのキャンプ/野営を思う存分楽しめる場所なんです。

山遊びで林業を救う…遊ぶSDGs


出典:MOKKI NO MORI

近年、世界中で森林破壊、森林消失が大きな問題となっています。
人口増加に伴う森林の農地化や、薪炭材利用のための過剰伐採など、その原因は様々。
アメリカなどでは、地球温暖化による山火事の多発も森林消失を招くとして問題視されています。


出典:pixabay

日本の森林もそうした問題とは別に、大きな悩みを抱えています。
その一つが、林業の衰退です。

檜原村は林業が盛んなところですが、現代は木材の買い取り価格が低く、その一方で山林の維持費は高額です。おまけに山林を相続しても相続税が高く、保有していてもデメリットばかりと土地を手放す人が増えているのが現状です。

これは檜原村に限った問題ではなく、日本各地で林業を衰退させる大きな一因でしょう。

さらに、日本が戦後にとった政策も林業の衰退を後押ししているのです。
それはどういうことかというと…。

戦後の日本は復興作業と経済成長のために多くの木材を必要としており、成長の早い針葉樹林を植え、人工林をたくさん作りました。

ところがその人工林が収穫期を迎える前に、国外から安価な木材が輸入できるようになったのです。
結局、せっかく作った人工林は放置されたままになってしまいました。
今では日本で使用される木材のうち、なんと8割は国外から輸入されているそうです。


出典:MOKKI NO MORI

ならば人工林は自然に放置しておけばいいのでは?と思うかもしれませんが、
それができないのが、難しいところ。
収穫期を迎えた木々は伐採し、新たに木を植え育てて、また伐採する--。
そのサイクルを維持しなければ、森林は荒廃してしまいます。

それなのに林業従業者の数が減少しているため、満足に整備ができない。
そんな悪循環にはまっているのです。

そこで檜原村では、林業を営む人々が「山林を守りたい」という強い思いのもと、モッキノモリという山のサブスクを始めました。
人工林を利用して収益化を図ることで、地元に利益を還元し檜原村の自然を守ることにしたのです。

モッキノモリでは、アウトドアスキルを学べる


出典:MOKKI NO MORI

モッキノモリの会員になるには、まずフィールド見学会へ参加する、あるいは既存会員の同伴でビジターとしての利用が義務付けられています。

見学会では各フィールドを使用する際の注意事項などの説明を受け、自然に敬意を払ってアウトドアの基本マナーを守ることの重要さを学びます。

ちなみに番組取材時に現地を見学した参加者は、この取り組みに感心しきりだった様子。

「助け合いじゃないですけど、私たちもキャンプが思う存分できるし、山林の所有者にもそういうメリットがあればお互いにいいことだと思います」
「檜原村の林業に貢献できるっていう視点は全然なかったので、すごいなと思いました。入会を検討したいです」

など、前向きな意見が集まりました。


出典:MOKKI NO MORI

モッキノモリにはチェックインやチェックアウトの時間もなく、ゆっくり自分のペースでキャンプができるのがいいですよね。

都心から一時間強で手付かずの大自然を楽しめる、新しい体験型のキャンプフィールド。
きちんと整備されたキャンプ場では物足りないアウトドア愛好者にとって、手付かずの自然でキャンプ体験ができるモッキノモリは、楽園のようだと感じること間違いなしです!

また、フィールドを使用できるだけではなく、会員用のアウトドアスキルを学んだり森の管理をお手伝いしたりするワークショップもあるので、こちらもぜひ利用したいところです。

楽しみながら檜原村の林業を助けることができ、しかも生活の疲れを自然の深い恵みに癒してもらえるなんて、まさに一石二鳥!
興味のある方はぜひ、こちらのサイトをチェックしてみてくださいね。
https://mokki.jp

トップ画像:pixabay

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