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2022.06.12

食べる

【管理栄養士が解説】“豆腐”は完璧なスーパー食材です!「作り方」「栄養」「摂取量」「食べ方」…を指南♪

管理栄養士のnnaokortです。先日NHKの情報番組『あさイチ』で豆腐の特集をやっていました。これまで様々な豆腐レシピを作ってきましたが、この番組を見て改めて栄養成分等いろいろ調べてみたんです。すると…非のうちどころのない優秀食材だと思い知らされちゃいました。豆腐は素朴で控えめなビジュアルながら、実は頼もしいポテンシャルをお持ちです(笑)。みなさんにもぜひ知ってほしいので、力を込めてお伝えします!

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豆腐の特徴


豆腐の原料は大豆のみ。大豆は「畑のお肉」と呼ばれるくらいタンパク質が豊富で、植物性のタンパク質源として貴重な食材です。豆腐から作られる油揚げや、豆腐を作る過程でできる湯葉などの加工品も多く、汎用性が高いのも特徴。日本人の食卓に欠かせない食品です。

種類は?

硬い大豆をやわらかい豆腐にするため、まず必要なのが大豆を水に浸けること。
水につけて3倍くらいにふくれた大豆を煮て、濾して絞ったものが豆乳です。
その豆乳に「にがり」を加え、固めて作ったものが豆腐となります。



木綿豆腐
にがりを入れると、豆乳がプリンのように固まってきます。
その固まった豆乳を穴の開いた箱に布を敷いて流し込み、その上から重しをして水気を切ります。

絹ごし豆腐
穴の開いていない箱ににがりを入れて豆乳を流し込み、そのまま水気を切らずに固まるまで置いておきます。
ちなみに絹ごし豆腐は絹で漉すわけではなく、木綿に対して絹のように滑らかという理由から、その名前がついたそう。

充填豆腐
豆乳を一旦冷やし、凝固剤と一緒に1丁ずつの容器に注入(充填)、密閉し、加熱して凝固させます。日持ちがいいのが特徴です。

焼き豆腐
脱水した豆腐を火であぶって焦げ目をつけたものです。味が染みやすいので、すき焼きなど煮込み料理に適しています。

厚揚げ
豆腐を厚く切って水気を切り、高温の油で揚げたものです。

薄揚げ
豆腐を薄く切って水気を切り、まず低温の油で揚げ、次に高温の油で2度揚げたものを言います。

凍り豆腐

豆腐を凍らせて脱水、乾燥させたもので保存食にもなります。栄養価が高いところがメリットです。

豆腐の栄養成分

今注目されている豆腐の栄養成分についてご紹介します。

タンパク質
豆腐は貴重な植物性タンパク質源。動物性タンパク質(肉類や魚介類)と比べるとタンパク質の含有量は少ないですが、その質は引けを取りません。
それはタンパク質の評価であるアミノ酸スコア*に表れています。なんと豆腐も肉類も最高値の100です。それに加えて豆腐のタンパク質は、血液中のコレステロールを低下させる働きが認められ、特定保健用食品(トクホ)にも使用されているすごいタンパク質なのです。

*アミノ酸スコアとは:
人の体に必要なアミノ酸がその食品にどれだけ含まれているかを評価したものです。アミノ酸スコアは100が最高値で、100に近いほど良質なたんぱく質が含まれていると評価されます。


脂肪酸
大豆に含まれるレシチンは、リンを含む脂質の一種です。脳の活性化にも寄与し、アルツハイマー型認知症を予防します。
次にレシチンは強い乳化作用があり、血管に付着したコレステロールを溶かし血流をよくする、あるいは固まるのを防ぎ付着しないようにする働き(脂肪代謝機能)があります。
それによって脂肪肝の予防、動脈硬化の予防など、豆腐が健康食と言われる要因にもなっています。

イソフラボン
最近、世界的にも注目されている物質です。イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをします。
エストロゲンには、骨からカルシウムが溶け出すのを抑え「骨粗しょう症」を予防する役割が。そのエストロゲンに代わるイソフラボンの働きに、注目が集まっています。


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豆腐の摂取量

タンパク質の推奨量を目安にしましょう。タンパク質の推奨量は成人では50~65g/日です。木綿豆腐に含まれるタンパク質は100g中7g(食品標準成分表2020年度版第八訂)。それなら豆腐2丁半~3丁(700~900g)だし、食べられる! と思うかもしれないですが、それは間違い。豆腐だけ食べていては、不足する栄養素も出てきてしまいます。体はいろいろな食材から栄養を摂ることで機能するのです。

豆腐は100~150g、1/3~1/2丁を目安にしましょう。ちなみに運動習慣のある方なら、体重1kgに対して、1.2~2g/日のタンパク質が必要と言われています。体重60kgの方なら120gのタンパク質が必要になるわけですが、タンパク質を肉類だけでカバーしようとすると脂肪も摂りすぎてしまいます。豆腐なら脂質が少なく質のいいタンパク質が摂れるので、うまくとり入れると理想の体作りが出来そうですね。

毎日食べるとどうなる?

豆腐は適正量を守って食べれば、血中コレステロールのコントロールができ、健康食に繋がります。それに豆腐は和食に合うことから、脂質の摂り過ぎを防ぎやすくなるんです。さらに美肌や骨粗しょう症の予防と体へのいい影響がたくさんありますよ。

食べ過ぎるとどうなる?

太ります。豆腐に限らずタンパク質は摂った分を消費できなければ脂肪となります。カロリーが低いのでついつい油断しがちですが、気を付けましょう。

また、大豆イソフラボンについては摂取基準が設けられているんです。
食品安全委員会では、大豆イソフラボンの安全な 1日摂取目安量の上限値を1日あたり 70~75mg/日としています。豆腐100gあたりのイソフラボン含有量を見ると、木綿豆腐32~56mg、絹ごし豆腐26~61mg、そして充填豆腐20~52mgです。とは言ってもこれまで日本人が長年にわたり摂取してきた大豆食品については、特に安全性の問題が提起されたことはありません。

美容には?


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豆乳由来の化粧品があるように、豆腐には美肌に関わる栄養素があります。まず大豆イソフラボン。女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きで美肌のサポートをしてくれます。次にレシチン。血流がよくなることで肌に必要な栄養素が行き届き、美しい肌が維持できます。3つ目はビタミンE。ビタミンEは血行をよくする作用があり、美肌作りに効果的です。

妊婦が食べてもいい?


もちろん妊婦さんにもおすすめの食材です。ただ、先に紹介したように適正量を守って食べましょう。
高たんぱく質で低カロリーな上、カルシウムや鉄分が豊富なため、豆腐は妊婦さんにも強い味方。カルシウムの吸収をよくするにはビタミンDと一緒に、鉄分の吸収をよくするにはビタミンCと一緒に摂るのがおすすめです。
最後の項目に載せている「おすすめメニュー!」も参考にしてください。

どんなものと組み合わせがいい?

ビタミンD
カルシウムが豊富に含まれている豆腐。カルシウムはビタミンDと一緒に食べ合わせると骨の形成に役立ちます。

ビタミンA、ビタミンC
豆腐は美肌に効果的なビタミンEが含まれています。ビタミンEを効率的に働かせるのがビタミンAやビタミンCです。

おすすめメニュー!

骨の形成に役立つビタミンDを使ったメニューはおすすめです。ビタミンDが含まれているものの代表は、きのこ類。豆腐ステーキにきのこ(ビタミンD)のあんかけは、低カロリーなのにボリュームも申し分ありません。ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、油を使った料理法がいいんですよ。豆腐ときのこのスープなどを作る場合は、最後にゴマ油を少したらせばOK。

美肌に効果的な食べ方としては、夏が旬のゴーヤチャンプルーがうってつけ。卵(ビタミンA)とゴーヤ(ビタミンC)で美肌の最強トリオです。ビタミンAは油と一緒に摂ることで体に吸収されます。また、ビタミンCは通常熱に弱いのですが、ゴーヤのビタミンCは熱を加えても壊れません。暑い日差しを浴びる季節、お肌を健やかに保つのに食べたいメニューですね。


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最後に

いかがでしたか?
豆腐は身近にありすぎて当たり前のように食べていましたが、元祖スーパーフードです! 飽きのこない食材なので、ぜひ日々の食卓に取り入れてくださいね。

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≪参考文献≫
書籍:

松本仲子 著,調理科学のなぜ? 朝日新聞出版

小原和夫 監修,なるほどたべものサイエンス 豆腐 鈴木出版

本多京子 著,大豆と豆腐の本 グラフ社

WEB:
農林水産省 https://www.maff.go.jp/index.html

一般財団法人全国豆腐連合会 http://www.zentoren.jp/

食品安全委員会 https://www.fsc.go.jp/

公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/

不二製油株式会社 https://www.fujioil.co.jp/

フジッコ株式会社 https://www.fujicco.co.jp/corp/

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