2021.07.04

働く

【都内でハーブガーデン!?】ドイツで出会ったハーブに魅せられ、農家に転身した奥薗和子さん

ドイツの国家資格フローリストマイスターを取得し活躍していた奥薗和子さんは現在、東京都青梅市でハーブ農家としてフレッシュハーブや有機野菜の栽培を行っています。そんな奥薗さんに会いたくて、農園「ララファームテーブル」に行ってきました。



食材と花、両方の顔を併せ持つハーブとの出会い

都心から電車で約1時間ほどの距離に位置しながら、奥多摩や埼玉県に隣接し、豊かな自然が広がる東京都青梅市。そんな里山風景が広がる一角に「ララファームテーブル」があります。



「遠いところまで来てくださってありがとうございます」と、やさしい笑顔と柔らかな物腰で迎えてくれたのが、農園を営む奥薗さん。



東京とは思えないほどきれいな景色と空気に感動していると、「わたしもこの自然に魅力を感じて、ここでハーブや有機野菜を育てる農園を開こうって決めたんです」と、農業を始めたきっかけを教えてくれました。



「農業を始める前は、ドイツで12年間、フローリストマイスターとして生花店やフラワーアレンジメントの現場で働いていました。ヨーロッパではハーブがとても身近なものなので、アレンジメントを作るときにも切り花にハーブを組み合わせて、ナチュラルなものに仕上げることがよくあります」(奥薗さん)



この日も、農園で栽培されているハーブを使ったミニブーケの作り方(リンク)をレクチャーしてもらいました。ハーブが持つ柔らかな雰囲気のブーケに、心が安らぎます。



ドイツにいたころは観賞用植物としてのハーブに触れる機会が多かった奥薗さん。よく通っていたマルシェ(市場)で、食材としてのハーブの魅力を再認識するように。

「オーガニックマルシェでは有機野菜といっしょに、ハーブが売られているんです。野菜といっしょに置かれているハーブを見て、なんてかわいらしくて、そしておいしそうなんだろうって。無農薬でハーブを育てれば食材にも使えるし、花束にもなる。安心して食べられて、しかも花として飾ることもできる。そんなハーブを自分でも作ってみたい!と生産の方に興味を持ちはじめました」(奥薗さん)

一から農業を学び、東京で農園を開くことを決意



「いざ農業を始めようと思っても、そのときは農家の知り合いもいなくて、とにかくゼロからのスタートでした。ハーブはまだまだ日本では馴染みが薄く、ハーブ農家自体も少ない。そこでまずは、山梨県の農家のもとで有機栽培を2年学び、その後は青梅市の有機農家「Ome Farm」で研修を受けました。せっかくハーブの魅力を伝えるなら、いろいろなものが集まる東京でやりたいと思って。農地の貸出しなどを斡旋してくれる東京都農業会議に相談し、縁があってここに農園を開き、今年で3年目になります」(奥薗さん)

そう話をしながら、ハーブの種類や食べ方、使い方などを教えてくれる奥薗さんはいきいきとした表情がとても印象的。



「畑作業をしていても、癒されるんです。ハーブの中に常にいるので、ときおり味見をしてみたり、動いているうちに体にハーブの香りがついたり。幸せですね」(奥薗さん)

生活に溶け込むハーブの魅力

「ララファームテーブル」では、ケールやルッコラ、玉ねぎやじゃがいもなどの野菜と、バジルやローズマリー、ディルなどのハーブを少量多品目で生産。土壌や自然本来の力を最大限に生かして栽培しています。



「フレッシュハーブは料理はもちろん、見た目もかわいらしい花をつけるものが多いので、飾っても楽しめます。ドイツではキッチンでハーブを栽培し、すぐ使えるようにしている家庭も多いんです。日本でもそのくらいフレッシュハーブが身近なものになったらいいなと思いますし、そのためにこれからもおいしいハーブを食卓へ届けていきたいです」(奥薗さん)



目指すは訪れるだけで癒される「カフェ」のような農園

「ただ農業をするのではなく、美しい農園を作るのが目標です。ここを訪れてくれた人は農園を見て癒され、さらにおいしいものが食べられる。カフェやピクニックのような感覚で来れる場所になればいいなと思っています」(奥薗さん)



たとえば、摘みたてのハーブは野菜や果物と合わせるとハーブウォーターに(作り方はこちらから)。農園の可能性が広がります。




現在、「ララ ファーム テーブル」で収穫されたハーブや有機野菜は、東京近郊や青梅市の直売所、不定期出店のマルシェなどで販売中。

「スーパーではなかなか手に入らないような珍しいハーブも今後増やしていく予定です。安定して収穫できるようになれば、消費者の自宅やお店に農園から直接お送りできるようにしていきたいです」(奥薗さん)



フレッシュハーブの手軽な楽しみ方は「ララファームテーブル」のインスタグラムなどのSNSからも発信しています。気になる方はぜひチェックしてくださいね。


 

ララファームテーブル

奥薗和子さん

12年に渡るドイツ生活を経て、2019年東京都青梅市の豊かな自然の中に「ララ ファーム テーブル」を開園。安心して食べられる新鮮な野菜を食卓に届けたいとの思いで、バジルやローズマリーなどのハーブのほか、ケールやルッコラ、ズッキーニなどの野菜、食べられる草花を有機農法を使って栽培。収穫したハーブや野菜は、東京近郊や青梅市のファーマーズマーケット、不定期出店のマルシェなどで購入できる。
ホームページはhttps://lala.farm/

写真/石塚修平 取材協力/JA西東京

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