秋になるとスーパーなどでも目にする機会が増えるいちじく。上品な甘みとやわらかな食感が特徴ですが、味わえる期間が比較的短いからこそ、おいしいものを選びたいですよね。そこで関東屈指のいちじく産地、埼玉県加須市のいちじく農家に食べごろを見分けるポイントを教わりました。完熟いちじくを見分けるポイント
今回、お話をうかがったのは、埼玉県加須市でいちじく農園を営む若山和一さん。
加須市のいちじくは市内の優れた生産品に与えられる「かぞブランド」として認定されています。
「毎年楽しみにしてくれている方が全国にいらっしゃるんですよ。ありがたいことですね」と話す若山さん。さっそく見分け方を教えてもらうと、3つのポイントがあるそうです。
【完熟いちじくを見分けるポイント】全体的に赤褐色ふっくらと丸く大きめのサイズへそがきれいな色で開いているそれぞれの見分け方について、詳しくお話を聞きました。
赤褐色は完熟のサイン!「果実全体に赤みがあるものは熟している証拠。いちじくは日持ちがしない果物なので、スーパーなどで見かけたらすぐ食べられるくらい熟したものを選ぶといいですよ」(若山さん)
出荷作業中の選果場(果物を仕分ける作業場)を覗いてみると…どのいちじくもツヤツヤです!いちじくは傷みやすいため、当日収穫したものをその日のうちに出荷します。
「実にツヤがあれば新鮮そのもの。切り口は時間が経つにつれて茶色く変色しますが、収穫から時間が経ってないものは、軸の切り口が白っぽくなっています。まさに採れたての証です」(若山さん)
収穫時には傷がつかないようにカゴにタオルを敷き、丁重に扱います。地元産のいちじくを見かけた場合は、収穫したてのいちじくを入手できるチャンスかも。
「採れたてのいちじくはもちろんおいしいですが、実は収穫してから2~3日置くと甘みが引き立ちます。切り口やツヤを目安に、収穫して時間のたっているものは購入してすぐに、採れたてのものは少し置いてから食べると完熟のおいしさを堪能できますよ」(若山さん)
サイズは大きめをチョイス!ふっくら感にも注目若山さんが採れたての完熟いちじくを見せてくれました。プリップリでおいしそう!!「サイズはある程度大きいほうが、甘みも強くて食べごたえがあります。形もふっくら丸みのあるものがいいですよ」(若山さん)
若山さんの圃場で食べごろのいちじくを見せてもらうと、丸みがあるプクッとした形。ひとつひとつの形と弾力を確認しながら、適切なタイミングで収穫を行うそうです。
大きさや色など細かな項目で規格があります。出荷する際には規格に則って細かくチェックし、品質に差異が出ないよう徹底しています。
へその開きと割れは完熟のサイン「いちじくの下の方にある“へそ”の開き具合も完熟の目安です」と話す若山さん。
下側中央にあるのが“へそ”。熟しているいちじくは確かに開いています。なるほど、分かりやすい~! ちなみにへその色は、茶色くないものを選ぶといいそうです。
収穫したいちじくを出荷する選果場では、1ケースずつ検品し、へその状態もチェック。ひとつひとつ確認し、ピンセットで付着物を取り除きます。その間、わずか数十秒ほど。
1パック5個入、4パックで1ケースなので、20個のいちじくをわずかな時間で判定していることになります。
このスゴ技が加須のいちじくの品質を守っているんですね!
「いちじくの旬は8~10月。8月のいちじくはさっぱりめの味ですが、後半になるにつれて糖度が上がります。甘めが好きな方やジャムやお菓子作りに使う方は、9月の彼岸前後から10月に購入するのがおすすめです」(若山さん)
写真/菊地菫今の時期は甘みが増して、濃厚な風味のいちじく。今だけのおいしさを味わってくださいね!
若山和一さん
埼玉県加須市で、国産いちじくの主要品種「ド―フィン」を、妻の富美子さんとともに栽培して13年。生産するいちじくは加須市騎西いちじく組合を通じて関東地区を中心に販売されているほか、自宅での直売も行っている。地域の特産品を知ってもらおうと、地元の小学生の農園見学を積極的に受け入れるなど、いちじくの魅力発信にも精力的に取り組む。所属する加須市騎西いちじく組合は、19名の組合員が2.8ヘクタールでいちじくを栽培(2021年現在)、市内の優れた生産品に与えられる「かぞブランド」としても認定されている。
加須市騎西いちじく組合
住所:埼玉県加須市騎西35-1(JAほくさい騎西中央支店内)
電話:0480-73-1121
HP:https://jahokusai.jp/