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2021.12.14

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【重症化の恐れも】手足口病が季節外れの流行!症状と予防策について【現役看護師が解説】

看護師のmocaです。先日、朝の情報番組『ZIP』で毎年夏に流行する感染症の手足口病がこの時期に増加していることが取り上げられていました。手足口病は乳幼児に多い病気ですが、まれに大人にも感染し重症化することがあるので注意が必要です。今回は手足口病に罹ったときの対応や感染拡大のを防ぐための対策などを詳しく解説していきます。

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手足口病ってどんな病気?対応策は?

.手足口病とは...
.なぜ冬に感染者が増加しているの?
.大人にもうつることがあるので要注意
.子どもが発症したときの対応や観察のポイント
.大人が発症した時の症状と対応
.感染拡大を防ぐための対策


1.手足口病とは...

手足口病はウイルス感染症の一つで、コルサッキーウイルスとエンテロウイルスが原因。
原因となるウイルスは複数の種類があるため一度罹ってもまた罹ることがある病気です。

症状は3~5日の潜伏期の後、口の中や手のひら、背中などに2~3mmの水疱性の発疹が出現します。発熱は約1/3にみられますがあまり高くならないことがほとんどです。
発疹は肘、ひざ、お尻などに現れることもあります。


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子どもはほとんどの場合が軽症で、数日間で治る病気です。
しかしまれに髄膜炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあるので、感染した場合は症状をよく観察しながら経過をみていく必要があります。


2.なぜ冬に感染者が増加しているの?

原因のひとつに『ウイルス干渉』という現象が考えられるそうです。

テレビ番組『ZIP!』ではクリニックばんびぃにの時田章史院長は次のように解説していました。

「ひとつのウイルスが大流行しているときは他のウイルスが一緒に流行ることはあまりない。
夏場にデルタ株が大流行して、手足口病のウイルスが流行らなかった分、いまの時期に流行っている。

これはウイルス干渉と言う現象。
手足口病の本来の流行時期の夏に新型コロナウイルスが感染拡大していたことから感染が広がる余地がなく、新型コロナが減少したいまになって増えてきた可能性が考えられる」。

たしかに昨年の冬は、新型コロナが流行しインフルエンザが流行らなかったので、これもウイルス干渉と考えれば納得ですね。


3.大人にもうつることがあるので要注意

手足口病のウイルス感染経路は、①くしゃみなどによる飛沫感染、②接触感染、③便などの排泄物から感染する糞口感染があります。

4歳くらいまでの子どもを中心に感染し、なかでも2歳以下が半数を占めるため、乳幼児が集団生活している保育園や幼稚園などで集団感染しやすいのが特徴です。

大人は不顕性感染(病原体の感染を受けたにも関わらず感染症状を発症していないこと)を含み、すでにウイルスに感染したことがある場合が多いので発症率は低いです。

しかしまれに大人が感染すると重症化しやすく、また、男性の方がかかりやすいという傾向があるので注意が必要です。


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ここからは子どもや大人が感染した時の対応と予防策について解説していきます。

4.子どもが発症したときの対応や観察のポイント

手足口病はウイルスに対する特効薬がなく、ワクチンで予防することもできません。
病院では症状に応じた薬を処方されるので、経過をみながら症状に合わせた治療を行っていきます。

ちなみにわたしの子どもが手足口病にかかったときは、発疹とともに下痢の症状があったため、整腸剤を処方されました。

自宅での対応として、食事はゼリーやプリン・ヨーグルト・冷めたおじや・豆腐など、うす味でやわらかく喉ごしの良い物を選びましょう。

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脱水を防ぐため水分はこまめに摂取させましょう。
オレンジジュースは刺激になるので、麦茶、牛乳、冷めたスープ、スポーツドリンクなどが望ましいです。

次のような症状があれば病院を受診しましょう。
高熱が出る、発熱が2日以上続く、嘔吐、頭を痛がる。
視線が合わない、呼びかけに答えない。
水分が取れずに尿量が減っている、ぐったりしている。


5.大人が発症した時の症状と対応

大人が罹患すると子どもより重症化しやすいので、発疹のかゆみや痛みも強く出ることがあります。

テレビ番組『ZIP!』では、手や足の裏に水疱がたくさんできて歩けないくらい痛かったという大人の方の体験談が紹介されていました。

わたしの知り合いで子どもからうつった人は、高熱が出て数日間仕事を休むことになり、とても大変そうでした。

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大人の対応も子どもと同じように、安静にし睡眠と栄養・水分を十分にとって回復に努めましょう。

小さなお子さんがいる家庭では、育児をしながら療養することは難しいかもしれません。
自分が急に体調を崩した際に、誰に育児のサポートをお願いするかなどの対応も、普段から家族で話し合っておけると良いですね。

発熱や発疹の痛みにはアセトアミノフェンやイブプロフェンの内服薬が有効です。
かゆみが強い場合は、病院で処方された塗り薬を使用しましょう。

発症後は痛みが消えるまでは10日ほど、発疹が消えるまでは子どもの2倍の2~3週間が必要です。


6.感染拡大を防ぐための対策

手足口病のウイルスはアルコール剤や熱に対する抵抗力が強いので、こまめに石けんと流水で手を洗うことが大切です。

便から感染するので、おむつ交換をした後は十分に手を洗いましょう。

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また手を洗ったあとのタオルの共有は避けた方が良いです。

手足口病は症状が治まったあとも2週間~1か月と、長期間ウイルスが便や鼻水などに含まれます。
また、感染しても発症していないままウイルスを排泄している場合もあるため、日頃から十分な手洗いを心がけることが大切です。

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