2022.01.02

働く

【コロナ禍で注目!二拠点生活】妻は子連れで地方に移住し、夫は都内に…!暮らしぶりはどんな感じ?

在宅ワークやワーケーションなど、これまでにない働き方や生活スタイルが提唱される昨今。しょうがの栽培と加工に携わる手塚美砂子さんは、2人の子どもを連れて故郷の山梨県南アルプス市に移住。一方、夫は東京に居住する二拠点生活をしています。その経緯や、二拠点だからこそのメリット・デメリットについて、話を聞きました。

【画像を見る】に拠点生活の実際は、こんな感じ!



二拠点生活のきっかけは子育てと仕事のバランス

かつては東京で、夫とともにデザイン事務所を切り盛りしていた手塚さん。なぜ子連れで南アルプス市に?

「都内で子育てしながら仕事をしていましたが、子どもが体調を崩したりすると、どうしても仕事に影響が出て、働き方に悩むことがあって…。なにかあっても周りに手助けしてくれる人がいれば、子育てと仕事のバランスをうまく取れるかも、と。そんな中、ふと思い浮かんだのが、父と母がいる南アルプス市の実家へ帰ることでした」(手塚さん)



二拠点がほどよい距離にあったことが決め手に

それから手塚さん夫妻は、毎晩のように話し合いを重ねたといいます。

「東京に残ってデザインの仕事を続けたいという夫の気持ちと、子育てしながら自分らしく働きたいというわたしの気持ち、お互いの気持ちを尊重した暮らし方を考えたら、別々で暮らす二拠点生活という選択肢が出てきたんです」(手塚さん)



南アルプス市と東京の住まいは、車だと2時間程度で行き来できる距離にあります。「これだったら二拠点生活もいけるし、こういう家族の形もありだよねと。仲が悪くて別居するわけではなく、前向きな気持ちで別々に住むことを決めました」と語る手塚さんの口調には何の不安も感じられません。

「コロナ禍ということもあり、今は月に1度、夫が山梨に会いに来たり、わたしと子どもが東京に行ったり。状況が落ち着いてきたら毎週末、家族みんなで会えるようにするつもりです」(手塚さん)

別々に暮らしているから、これまで以上に想い合える

とはいえ、実際に生活をし、理想と現実のギャップを感じることはなかったのでしょうか。

「わが家にとっては二拠点が、ちょうどいい距離感なんです」と、にこやかに語る手塚さん。



「東京にいた頃は、洗い物ひとつにしても“これぐらいしてくれたらいいのに”と、夫にイライラすることも。でも今は、わたしはわたしのペースで、彼は彼のペースで生活も仕事もできるから、とっても自由。感情的にぶつかり合うことがなくなっただけでなく、お互いのことをより想い合えるようになりました。例えば、彼が洗い物をしたときも“して当たり前”ではなく“ありがとう!”って言えるようになったんです」(手塚さん)



2人の子どもと夫の吉昌(よしあき)さんは、家専用のスマホを用意して、ビデオ通話やメッセージのやり取りで頻繁にコミュニケーションをとっているそうです。

「子どもたちが“お父さんと一緒がいい”と言うことも、もちろんあります。離れて住んでいる分、親子の交流が減らないようにしないといけませんし、そのために必要なものや時間は用意していますね。でも、自然に囲まれて、子どもたちが思いっきり駆け回っている姿をみると、やっぱり移住してよかったと思うんです」(手塚さん)

拠点が増えれば選択肢も増える

デザイン関係の仕事をしてきた手塚さん夫妻の趣味は美術鑑賞。子どもにも、鑑賞の機会をたくさんつくってあげたいと言います。

「美術館などの文化施設は、やはり東京が充実しています。美術館や博物館、イベントへ気軽に連れていけるのは、都内に家があるメリットですね」(手塚さん)


手塚さん夫妻のお気に入りの美術館、21_21 DESIGN SIGHTでのひとコマ。

子連れで旅行となると、何かと大変です。でも、“自宅に帰る”という感覚なら気楽ですし、荷物も少なくてすみますもんね。

「子どもの進路を考えたときも、拠点が2つあれば、都会での生活を選ぶことも、山梨での生活を選ぶこともできます」と、手塚さん。

二拠点生活からたくさんのメリットを享受していることが伺えます。

二拠点生活を成り立たせる“お財布事情”

拠点を複数持つことで気になるのは、お金のこと。そのあたりはどうしているのでしょうか。

「家が2つあれば、それだけお金はかかります。わが家は、夫の収入が比較的安定していたから実現できました。もちろん、わたしに収入があれば家計のプラスになるので、山梨での仕事を頑張っています」(手塚さん)


手塚さんは山梨で就農し、しょうがを栽培。ジンジャーシロップに加工して販売しています。「ジンジャーシロップからの収入を安定させることも、大きな目標です!」(手塚さん)

「山梨での生活費は東京で子育てをしていた頃と比べると格段に安い。都会に2つ家を持つのは金銭的にハードルが高いかもしれませんが、都会と地方にそれぞれで家を持つ、と考えればいろいろとやり方はあるのかなと思います」(手塚さん)

働き方も暮らし方も、さまざまな選択ができる時代ですが、生活するお金のことも大切。離れて暮らすとなれば、なおさらです。その点がクリアでき、家族が納得できるのであれば、二拠点生活を考えてみる価値はおおいにアリ! 手塚さんの明るい笑顔が、そう教えてくれました。

手塚美砂子さん

美術大学を卒業後、デザイン関連の仕事に従事し、夫とともに東京でデザイン会社を立ち上げる。ふたりの子どもを育てながら、今後の生き方を模索していた2018年、実家が果樹園を営む山梨県南アルプス市へのUターンを決めて就農。自身はしょうが栽培とジンジャーシロップの販売事業、夫は東京でコンサルティング会社を経営し、2拠点生活を送っている。

ショウガシロップのサイト https://soil-drink.com/
手塚果樹園サイト http://tezuka-farm.com/

写真提供/手塚美砂子 取材協力/JA南アルプス市

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