2021.12.28

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流行の兆し⁉『感染性胃腸炎』が増加中!アルコール消毒では防ぎにくいのでご注意を!【現役看護師が解説】

看護師のmocaです。12月7日の報道番組『THE TIME,』で、昨年はあまり流行しなかったノロウイルス感染症が今年は増加傾向にあることを取り上げていました。ノロウイルスは子どもをもつ家庭を中心に広がりやすく、感染性胃腸炎を引き起こします。感染力が非常に強く、冬に流行するノロウイルス。正しい予防法や症状、感染した際の対処法について詳しく解説していきます。

【画像を見る】最近アルコール消毒に頼ってない?ノロウイルスは手洗いすることで予防できるんです


『ノロ』ってどんなウイルス?対処法は?

1.今季流行の原因は『アルコール消毒の勘違い』!?
2.ノロウイルスの感染経路や症状
3.感染性胃腸炎を発症した際の対応
4.家庭での感染拡大対策


1.今季流行の原因は『アルコール消毒の勘違い』!?

『THE TIME,』によると、去年は新型コロナウイルスの流行で手洗いの徹底がされており、ノロウイルスの感染爆発はありませんでした。しかし今季は11月頃から感染者が増え続けており、コロナ前の一昨年に迫る勢いだそうです。

大森町駅前内科小児科クリニックの田口 眞寿美医師は、今季の感染性胃腸炎の流行の原因について次のように述べています。

番組内の田口医師のコメントを抜粋すると…
「アルコール消毒に頼って手洗いをする習慣がなくなったことも感染増加の原因ではないかと思います。
ノロウイルスはアルコールが効きにくいので要注意です。
アルコール消毒を過信せず、せっけんを使ってしっかりと手洗いをすることが感染予防につながります。」


出典:イラストAC

アルコール消毒が習慣化されたことによって、手洗いの機会が減ってしまったと考えられますね。
外出後やトイレに行ったの後、調理前、食事前にはアルコール消毒だけでなく、しっかりと手洗いを行いましょう。


2.ノロウイルスの感染経路や症状

ノロウイルスは1年中発生しますが、秋口から春先にかけて流行します。
感染経路は、①人から人への感染と②食中毒によるもので、口から入って感染します。

①の人から人への感染は、感染者の便や嘔吐物から人の手を介して感染する場合と、家庭などの人と人が接触することの多い場での飛沫感染があります。

②の食中毒は汚染された二枚貝(主にカキ)などを生や加熱不十分な状態で食べた場合や、感染した人が調理した食品を食べた場合があります。

ノロウイルスの感染から発症までの潜伏期間は12~48時間で、感染力が強く少量のウイルスでも感染します。


インフルエンザのように予防をするためのワクチンや、かかってしまった時に使える抗ウイルス薬はありません。
また体のなかで免疫が作られないので、一度かかってもまた感染することがあります。注意が必要です。

症状は腹痛、下痢、嘔気、胃をひっくり返すような突然の嘔吐、発熱や頭痛で、通常1~2日で症状は治まります。

健康で体力のある人は感染しても発症しない場合や、軽い風邪程度の症状ですむ場合もあります。
ですが、体力がなく免疫力の弱い子どもやお年寄り、妊婦の方などは重症化してしまうこともあります。

わたしの知人は自分の子どもから感染したときに、子どもは水分を与えても吐き続けたうえ、自分は39℃の発熱と頭痛、吐き気があり、下痢でトイレにこもらないといけない状態だったと言っていました。

家庭内で感染が起こると、すごく大変なので感染拡大を抑えることが大切ですね。

出典:イラストAC

3.感染性胃腸炎を発症した際の対応

抗ウイルス薬はないので、症状に合わせた治療を行っていきます。
下痢止めはウイルスが腸管に留まって回復を遅らせてしまうため、使用しないほうが良いです。

嘔吐や下痢で体の中の水分が失われるので脱水になりやすいです。
水分や栄養は症状が少し落ち着いた時に、こまめに少しずつ摂りましょう。

脱水が進んでいる場合は点滴治療が必要になることもあります。
OS-1などの経口補水液は失われた水分や塩分などを速やかに吸収できるので、軽度から中等度の脱水に対して効果的です。


出典:大塚製薬公式HP

《子どもへの対応》
嘔吐をした直後は水分を与えるとまたすぐに吐きやすいので、1時間くらいして吐き気が落ち着けば、こまめに一口ずつ水分を摂らせてあげましょう。
牛乳やオレンジジュースは刺激になるので避け、麦茶や経口補水液、少し水で薄めたリンゴジュースなどを与えると良いです。

食事は水分を摂っても吐かなくなれば、少量ずつから始めましょう。
お粥やパン粥、柔らかく煮たうどんなどがおすすめです。

《夜間や休日でもすぐに受診した方が良い子どもの症状》
・元気がなく、ぐったりしている
・呼吸が苦しそうで、顔色が悪い
・吐き続けて水分が摂れず、おしっこが出ない、唇や舌が乾いている(脱水の症状)
・38.5℃以上の高熱が続いている
・強い腹痛があり治まらない

夜間や休日に受診が必要か迷ったときに相談できる『子ども医療電話相談#8000』というサービスがあります。
#8000に電話すると、各都道府県の小児科医や看護師にアドバイスをもらうことができ、受診が必要な場合には夜間休日でも受診できる病院を教えてもらうこともできます。

#8000については以下の厚生労働省のホームページに詳しく記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

出典:イラストAC


4.家庭での感染拡大対策

感染した人の嘔吐物や便には大量のウイルスが含まれています。
乾燥するとウイルスが空気中に漂い広がってしまうので、汚染された物は速やかに適切な処理をすることが大切です。

汚物の処理や消毒は手袋とマスクを着用し、十分な換気をして行いましょう。

わたしの子どもが感染した時に、あってよかったのがペットシートです。
子どもはいつ突然吐いてしまうかわからないので、布団が汚れないよう寝るときに頭の下に敷いたり、水っぽい便なのでオムツ交換の際床が汚れないように下に敷いて使いました。そのままオムツを包んで捨てられるのでとっても便利でした。


上の画像のように汚物を入れるビニール袋はゴミ箱に被せておくとすぐに捨てやすいですよ。


ノロウイルスの消毒方法

アルコール消毒は効かないので次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。
キッチンハイターなどの家庭用塩素系漂白剤で消毒液を作ることができます。
塩素系漂白剤は製品の取り扱い説明をよく読み、直接肌に付かないように必ず手袋を着用して扱いましょう。

【次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方】
①嘔吐物や便の処理を行うときは0.1%濃度の消毒液を使用します。
作り方は500mlの水に対し、5~6%濃度の塩素系漂白剤10ml(ペットボトルキャップ2杯)を混ぜます。

②汚染した衣類の消毒や、ドアノブ・便座など感染者が触れたところの消毒は0.02%濃度の消毒液を使用します。
作り方は2.5Lの水に対し、5~6%濃度の塩素系漂白剤10ml(ペットボトルキャップ2杯)を混ぜます。

作った消毒液は時間が経つと効果が弱まってしまうので、作り置きせずその都度使い切るようにしましょう。
原液・希釈液ともに小さなお子さんの手に触れないよう注意してください。

次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方や取り扱いの注意点は広島県のホームページで詳しく説明されています。
よく読んでから使用してください。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/168/syoudokueki.html

【嘔吐物や糞便の処理方法】
ペーパータオルを被せて①の消毒液をたっぷりかけて取り除き、ポリ袋に入れて捨てます。


出典:イラストAC

洗濯ができない椅子やカーペットなどが汚れた場合は、先ほどと同じ方法で汚れを取り除いた後、捨ててもよい布でポンポンと叩いて汚れを取り除きます。

布製品に次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を使用する場合は色落ちすることがあるので注意してください。
ノロウイルスは85℃以上1分の熱で死滅するので、あて布をしてアイロンのスチーム高温を2分当ててて消毒する方法もあります。

【衣類が汚染されたときの洗い方】
すぐに洗濯できない場合は、袋などに入れウイルスが広がらないようにしましょう。

飛び散らないように静かに水洗いし、ある程度汚れを落とします。
次に②の消毒液に15分ほど浸けてから、他の人の洗濯物とは分けて洗濯機で洗います。
色落ちが心配な物は熱湯消毒が良いでしょう。

汚物の処理をした後は、うがい・手洗いをしっかりと行い、できれば着替えも行ったほうが良いです。

次亜塩素酸ナトリウムは金属を錆びさせてしまう性質があるので、金属に使用した時は水拭きをしてください。

いかがでしたか。
ノロウイルスにかかってしまうと大変なので、普段から手洗いうがいを徹底し、カキなどの二枚貝を食べるときは十分注意が必要です。

そのほかにも、トイレは流す前にフタをしてウイルスの飛散を防ぐことや、手洗い後のタオルは共有しないようにする、もしくはペーパータオルにするなど感染予防の対策をとっていくことが大切ですね。



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