2022.02.22

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「熊本産アサリ」が外国産だった!なぜこんなことが起きたの?国産の見分け方は?【偽装問題の詳細】

先日、夕方の報道番組『イット』で、熊本産のアサリがまさかの97%外国産!というショッキングなニュースを取り上げていました。いわゆる「産地偽装」という事件です。農林水産省の調査でわかったそうですが、どうしてこんなことが起きたのでしょう。安全・安心を求める、いち消費者としてとても気になる問題です。そのときのニュースを詳しく見ていきましょう。

【画像を見る】熊本産のアサリ問題。消費者として知っておきたい!

偽造は食品表示法の「長いところルール」の悪用だった!



熊本県の蒲島知事は会見で、「熊本ブランド全体の信頼を揺るがす危機的状況。本県の非常事態である」「これは『犯罪』だと思う」とも。では、なぜこんなことが起きてしまったのか?

報道番組『イット』の取材で食品問題評論家の垣田達哉さんは…食品表示法の「長いところルール」の悪用があるといいます。
ん、何なんでしょ? 「長いところルール」って。

番組によると、食品表示法では「水産物を2か所以上で育てた場合、最もその期間が長い場所を原産地として表示する」と定められているそうです。つまり、中国で「1年間育てたアサリ」を輸入した場合、熊本で「1年より長く」育てれば、「これは熊本産のアサリですよ」と販売することが可能なのです。

熊本県側は今回の偽装の件について、この「長いところルール」に違反した可能性があるとして『原産地で育った期間より短い場合、それを熊本県産と表示したのであれば偽装になります』と話しています。
さらには、「これは『犯罪』だと思う」とも。

育てる期間を短くして出荷しようとするのは何故か?



原産地で育った期間より短い場合、それを熊本産と表示すれば偽装。育てる期間を短くして偽装して出荷するのはなぜなのか、垣田さんによると…

「外国産より『国産』の方が値が高い。悪徳業者はコストや時間の負担をかけずに、『長いところルール』を悪用して偽装『国産』」を販売しているんです」と、指摘します。

それから先日のテレビ番組『ワールドビジネスサテライト』によると、中国産や韓国産のアサリはほとんど売れなくて、卸先が見つからず在庫になってしまうのだそう。

熊本の多くのアサリ業者は、輸入元の中国や韓国などの業者に飼育期間を短くした書類を作ってもらい、自分たちは熊本で育てた期間を長くした書類を作り、産地偽装が明らかにならないようにしたという疑いがあります。
https://lovely-lovely.net/business/nimaigai-kyougikai/

このルールに違反したら罰則はあるの?

『イット』にコメンテーターとして出演していた住田裕子弁護士によると、「(罰則については)いろいろありますが、特に不正競争防止法違反というのは、5年以下の懲役、罰金は個人であれば500万円、法人なら1億円以下というとても重い罪です」といいます。

海岸でアサリを一定期間育てると、その産地表示が可能。では、泳いでいる魚の場合はどうなんでしょう?回遊しているような魚の「産地」って、どうやって決めているのでしょうか。

泳ぐマグロの産地はどこ?



では回遊魚であるマグロの場合、産地を「長いところルール」では決めれないですよね。いったい、どうやって決めているのでしょうか?

どの船が獲ったかが重要



実は…獲った場所は関係ないんですって!では、『国産』か否かはどうやって決めているんでしょう? 

そのからくりはこうです。例えば、インド洋沖でマグロ漁をしているとします。そこには日本の船もあれば、すぐ近くに外国船もチラホラ。複数の国の船が漁場に集まっている状況を思い浮かべてください。で、日本の船がマグロを獲ったら、そのマグロは「日本産」になるのだそうです。すぐ隣にいる中国籍の船が獲ったら、そちらのマグロは「中国産」なのです。

え~っ!じゃないですか?衝撃の事実ですよね。全然知らなかったです。

では、アサリの「国産」と「外国産」はどう見分ける?



番組では築地の鮮魚店に、国産アサリの見分け方を取材しています。それによると、まず色の違いがあるそうです。

日本産アサリ…黒っぽい色みで、貝殻に厚みがある

中国産アサリ…白っぽい色みで、貝殻がやや薄い

本物の熊本産アサリには貝殻に厚みがあり、縞模様のメリハリがはっきりしているのだそう。一方、中国産のアサリは貝殻の厚みがやや薄く、模様の境目がぼやけたような色みをしているのだとか。比べてみると違いがよくわかるようです。

気になるのは、中国産のアサリを食べることによる体への影響、安全面ですよね。

『ワールドビジネスサテライト』によると、現時点ではっきり言えることは、すぐに重大な健康被害は出ないということ。もし出てるのであればもっと早く話題になっていてもおかしくありません、とコメントしていました。
https://lovely-lovely.net/business/nimaigai-kyougikai/



いかがでしたか?「長いところルール」や、アサリの「国産」「外国産」の見分け方、そして回遊魚がどのように産地が決まるかなど、知らなかったことをたくさん知ることができたかと思います。

このような偽装があると、買い物の際に不安になっちゃいますよね。

『イット』でも住田弁護士が「貝に関しては汚染物質が溜まりやすいと聞いていますから、外国産だと汚染度がわからなくて不安ですよね。特に中国の場合は、食品汚染とか環境汚染という話も聞くので、余計不安が募ります…」とコメントしています。

最後に、住田弁護士はこうも言っています。

「この『長いところルール』はホントにびっくりしましたね。やっぱり私たちは安全第一と考えますから、もう少しルールを明確化して(アサリの)元の子どものときからの(生育の)プロセス、その経路なんかを表示していただいて、そのうえでわたしたちが買えるようにしてほしい。消費者にわかりやすく簡潔に示してほしいと思いました」

この件、これからもまだ目が離せないようですね。

※2月22日現在、熊本産アサリの出荷は止められています。

出典:PHOTO AC

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