2022.06.19

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お茶農家に教わる【おいしい茶葉の見分け方】新茶と一番茶は同じ?二番茶や三番茶との違いは?

古くから親しまれ続けている日本茶。最近では健康効果も注目を集め、今や海外でも大人気です。でも、いざ日本茶の茶葉を買いに行くと、いくつも種類があって何を選んだらいいのかわからない、なんてことに…。そこで、日本三大銘茶のひとつ、狭山茶を製造直売するお茶農家においしい茶葉の見分け方を教わりました!

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日本茶は産地や品種、栽培方法や加工方法などをふまえると、数え切れないほど個性のあるお茶が存在します。今回はそんな数あるお茶の中でも、東京都瑞穂町で狭山茶を製造直売する森田藤紀さんに話を聞きました。



「狭山茶は『色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす』と茶摘み唄でも歌われるように、静岡茶、宇治茶とともに日本三大銘茶として知られています。埼玉県西部から瑞穂町を筆頭とした東京都多摩地区を含む“狭山丘陵地域”で栽培されるお茶を指しますが、東京都産のものは東京狭山茶とも呼ばれています」(森田さん)

冬の寒さが厳しい狭山丘陵地域で育った狭山茶の茶葉は厚みがあり、力強い味わいが特徴です。


厳しい寒さを乗り越えて間もなく収穫を迎えるお茶の葉。

新茶と一番茶は同じもの!収穫順に名前が変わる

5月と6月は、狭山茶の茶摘み時期。茶葉の呼び名は、どのタイミングで茶摘みされたかで決まるのだそう。

「冬を越して、伸びてきた芽を収穫したものが『一番茶』。新茶とも呼ばれます」(森田さん)



一番茶を収穫したあと二週間ほど待つと、次の芽が伸びてきてその年2回目となる茶摘みをします。

「2回目に収穫された芽が二番茶に、そのあと伸びてきた芽は番茶(三番茶)になります。一番茶は最も香り高く、爽やかな味でとってもおいしいですよ」(森田さん)



一番茶が二番茶、三番茶よりも味が良い理由は、生育速度の差と繊維質の少なさにあります。二番茶以降の茶葉は、気温が暖かくなってくる中で短期間で育ちますが、一番茶に使われる茶葉は前年の秋から、じっくりと栄養分を蓄積しながら育った新芽。時間をかけて育った新芽には、豊かな香りや風味がギュッと詰まっている、というわけです。

茶葉は「色が濃い&ツヤツヤ」が高品質!


森田さんの店舗にもあらゆる種類のお茶がずらり!

お茶は全国各地で栽培されていることもあり、一番茶だけでもものすごい選択肢が…。選ぶ際にコツはありますか?

「お茶の味や品質は材料の茶葉次第でずいぶんと変わります。品種はもちろん栽培方法や製造方法によっても異なるため、実際に飲んでみるのが一番。試飲できない場合は、茶葉の色とツヤに注目してみてください。品質の高いお茶は色が濃く、ツヤツヤしていますよ」(森田さん)



お茶屋さんなど、専門店に行くと試飲することが出来ます。また、茶葉の状態も見れないときは、産地の記載を確認するのも◎。

「産地ごとにそれぞれ特徴があります。まずはいろいろな産地のお茶を飲み比べてみて、自分好みのお茶を探してみると楽しいですよ」(森田さん)

焙煎によっても味が変わる!

茶葉の収穫は手摘みのほか、摘採機と呼ばれる機械などで行います。



「収穫した茶葉は、その日のうちに蒸して揉んで乾かして、荒茶(あらちゃ)という保存可能な一次製品の状態にします。出来上がった荒茶は袋詰めして低温冷蔵庫に保管し、必要に応じて仕上げ加工し、袋詰めすれば、ようやく製品となります」(森田さん)


仕上げ加工とは、茎や粉などを篩い分けて取り除き、茶の長さを揃え、火入れ(焙煎)により香味を高める作業を指します。

火入れは、茶の善し悪しを最終決定するとても重要な作業。森田さんは季節に合わせて、火の入れ方を変えているのだそう。

「茶葉がとれたばかりの春夏シーズンは爽やかに飲めるようフレッシュさのある焙煎を、秋冬シーズンは甘さが感じられるように強めに焙煎しています」(森田さん)



茶葉は焙煎を含めた製造方法はもちろん、栽培や土づくりも味に直結します。

「栽培から製造まで毎年試行錯誤し、香りと味のバランスが取れた良いお茶を常に追い求めています」(森田さん)

実は、お茶の味を最後に決めるのが、飲み手であるわたしたち。おいしいお茶の淹れ方もぜひチェックしてくださいね。

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参考サイト:https://www.o-cha.net/teacha/saibai/ichibancha.html



森藤園

森田藤紀さん

静岡県で2年間茶生産の基本を学び、東京都西多摩郡瑞穂町で両親とともに日本三大銘茶のひとつ「狭山茶」の製造直売をしている。栽培品種は「やぶ北」「きらり31」「さえあかり」など全11品種。森藤園のお茶は敷地内にある販売所のほか、オンラインショップでも購入できる。

森藤園ホームページ:https://morifujien-mizuho.tokyo/

森藤園オンラインショップ:https://morifujien.theshop.jp/

収穫写真/JA東京中央会 写真/石塚修平・森藤園 取材協力/JAにしたま・JA東京中央会

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