2022.11.02

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柿の食べすぎに要注意!「え、胃に石ができる⁉」…柿胃石症の症状と治療について【看護師が解説】

看護師のmocaです。柿や梨、ぶどうといった秋の味覚がスーパーや青果店に並ぶようになりましたね。「柿」はビタミンCやカリウムが豊富で、二日酔いや肌荒れの解消、免疫力増強に効果的なんですが、食べ過ぎには注意!が必要なんです。というもの、「石」ができてしまうから。10月15日放送のTBS系番組『まるっと!サタデー』で詳しく取り上げていたので、症状や治療法について詳しく解説しますね。

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そもそも胃石とは⁉

胃石とは、胃で消化しきれなかった食べ物などの物質が固まってできたものです。
胃石には果物や野菜の食物繊維からできる植物胃石や、飲み込んでしまった髪の毛が固まる毛髪胃石などがあり、なかでも柿胃石は植物胃石の一種で、国内では最も多く報告されています。

『まるっと!サタデー』では、あい太田クリニック 芳賀紀裕院長が柿胃石の原因について解説。
「柿の渋みですね。その主成分である『シブオール』というものが胃の中で酸などと合わさることによって、周りの食物繊維などを巻き込んで石になるといわれています。
食べた後に、(何年かかけて)徐々にというよりは比較的早く石になるようです」

胃石は症状を起こさないことがほとんどですが、大きさが直径2cmを超えると胃の出口(幽門)を通過できなくなり、食後の強い腹満感、嘔気・嘔吐、腹痛、食欲不振などが現れることがあります。


出典:イラストAC

さらに重篤な合併症を起こすと緊急手術が必要となる場合も出てきます。
胃石によって起こる合併症には、胃石が小腸や大腸を塞いでしまう腸閉塞や、胃石が消化管の粘膜を傷つけて起こる消化管出血、胃や腸に穴が開いてしまう消化管穿孔などがあります。

消化管穿孔によって、消化管の内容物が腹腔内に漏れ出して腹膜炎を起こすと全身状態の悪化を招く原因にもなります。

番組では柿胃石になったことのある70代の女性に取材。
「1日10個以上は食べていました。毎日のように。病院に入る手前で意識がなくなった。先生が後日写真を見せてくれて、胃に一つ、わりと大きな石ができていた」と当時の状況を語っていました。

1日10個はさすがに多いですよね…!

胃石の基本的な治療は、内視鏡を使って胃の中で胃石を砕いて摘出する方法ですが、柿胃石はとても硬いのが特徴で粉砕するのが難しいです。

出典:イラストAC

そこで胃石を柔らかくするために実際に治療のために使われるのが、意外にもわたしたちの身近にあるあの炭酸飲料…『コーラ』なんです。

番組のなかでファミリークリニックたまい 玉井紀男院長はコーラ療法について「コーラで柿胃石を溶かすというのは本当です。コーラの成分の炭酸が石の中に入り込んでいって、石がだんだん小さく溶けていく」と教えてくれていました。

コーラが柿胃石を溶かして柔らかくしてくれるなんてちょっと驚きですよね。

患者さんにコーラを飲んでもらうか、難しいようなら鼻から胃に管を通して注入し、数日間様子をみて痛みなどの症状がとれなければ内視鏡を使った手術を行うかどうかの検討をしていくそうです。

玉井院長によれば1日に食べてもよい柿の量は「個人差はあると思いますけれど、適量というと大体1日1個か2個ということではないでしょうか」とのこと。

ちなみに渋くない干し柿でもシブオールは可溶性から水溶性へ変化するだけで量が減ることはありません。

出典:イラストAC

胃酸の量が少なく、咀嚼(そしゃく)機能が低下しているお年寄りや、消化管手術後の方などは胃石ができる危険性が高いため特に注意が必要です。

この季節、毎日たくさん柿を食べるという方は短期間のうちに胃石がつくられる可能性があります。
おいしくて栄養豊富な柿ですが、適切な量を守って楽しんでくださいね。

出典:写真AC

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