2021.09.21

働く

【週末に農業ボランティア】農作業にはストレス軽減の効果あり!気になる活動に密着してきました

長く続く自粛生活やテレワーク。多くの人がこれまでにないストレスを抱えている中、自然に癒しを求めて、ベランダ菜園や密を避けた農業体験を始める人が続出中なんだとか。そこで注目したいのが、農家と交流しながら農作業を行う農業ボランティア! 具体的にどんな活動をしているのか、東京都国立市が運営する「援農ボランティア事業」で活動するボランティアに密着、その魅力を伺いました。



「ストレス解消に農作業が効果的」は科学的に実証済み!

日々忙しさに追われていると、「自然に癒されたい」と思う人も多いのでは? 特にコロナ禍という状況下で、ストレスはさらに蓄積されているはず。

そんな人におすすめなのが、農業体験やボランティアなどでの農作業です。



2018年11月からJA全中と順天堂大学大学院との共同で行われた調査では、農作業を行う前と後で、ストレスによるホルモンが減少し、幸福度を表すホルモンが増加したとのこと。

【体験型農園でストレス軽減 初の科学的実証-全中と順天堂大】
https://www.jacom.or.jp/noukyo/news/2020/07/200715-45361.php

でも、いざ農作業やってみたいな~と思っても、「どういうところで農作業ができるの?」「農作業ってどんなことするの?」と気になりますよね。

そこで今回は、自治体(今回は国立市)が窓口となっている援農ボランティアに同行してきました!

研修もあり! 誰でも気軽に参加できる地域の援農ボランティア



訪ねたのは東京都国立市の梨農家「さとう園」。援農ボランティアをしている3名に話を聞きました!


(左から)隈井裕之さん、農園主の佐藤英明さん、遠藤常吉さん、井上紀民さん

国立市では、市民の農業への理解を深め、農家の支え手となる人材を育成するために「国立市援農ボランティア事業」を推進しています。

現在は市民25人が登録し、「さとう園」をはじめとした農家に派遣。梨の受粉や摘果作業などの研修を受け、作業を行っているそうです。



「もともと土とか自然、環境に関心があって。国立で梨が栽培されていることを知ってからはその魅力にハマり、なんとか梨園を守りたい! 国立の梨を広く知って欲しい! という思いで活動しています」と話すのは遠藤さん。

遠藤さんは「国立市援農ボランティア事業」の前身である市民団体「くにたち・梨園ボランティア」から約21年に渡って参加しているそうです。



同じく、約20年参加している井上さんも「ずっと会社勤めだったので、自然に親しむことがなかったんです。援農ボランティアを始めてからは、自然と土に触れて、作業中は無になれるし汗をかきながらストレス発散! 毎日がすがすがしい気持ちですよ」と話します。



この日の作業は、収穫間近の果実に被せてある袋外し。みなさん手慣れた様子で袋の下部をミシン目に沿って破り、果実の熟し具合を確認していきます。



「簡単そうに見えて、実は慎重にやらないといけない作業なんですよ。梨はちょっと触れただけで落ちてしまうこともあるので、それだけで1年の作業が無駄になってしまう。丁寧に丁寧に破っています」と遠藤さん。

きっかけは何でもよし! まずは一度体験してみて

ボランティア、と聞くと意識の高い人がやっているイメージもあるかもしれません。

でも、隈井さんは「あまり深く考えずに始めてみるのがおすすめ」といいます。



「私は、ただ果物が好きで、梨農園なら梨がいっぱい食べられる! と思ったのが参加したきっかけ。それでもう約20年続けています。ボランティアをやってみて、何を掴むかはその人次第。気になったら、まずは1回だけでも参加してみると良いですよ。最近は女性の参加者も増えてきているし、研修もあるので安心です」(隈井さん)



今回お話を伺った3名は、「農業でストレス軽減」を体現している方ばかり。お話を伺った私が、逆に元気をもらってしまうほどイキイキしていました!

ボランティアについて、経験がなくて不安、という方に対して、受け入れ農家であるさとう園の佐藤英明さんからこんなメッセージをもらいました。



「梨は、春の花粉媒介から始まり、袋がけ、摘果、夏以降の収穫など、膨大な作業を短期間で行わなければなりません。こういった作業を手伝ってくれるボランティアの皆さんには、とても感謝しています。皆さん楽しんでやってくださるので、一緒に作業するだけで元気がもらえるんですよ。ボランティア活動を通して、農業や農産物に少しでも関心を持ってもらえたら、それだけでうれしいです」(英明さん)



娘さんの淑美(よしみ)さんもこう続けます。

「私は子どもの頃から農業に親しんでいますが、同世代の人は興味がない人も多いと思うんです。農業は1人ではできません。手伝ってくれるボランティアや、パートの方々がいて初めて成り立ちます。梨を知りたい、農業ってなんだろう、そういったところから一緒に考えることができればいいなって思います」(淑美さん)



自治体やJA、農家などさまざまなところが窓口となり、各地で援農ボランティアを募集しています。

少しでも興味がある方はぜひ、地域のボランティアから探してみては?




さとう園

東京都国立市で、梨を栽培。「幸水」や「豊水」などの定番の品種のほか、東京都内でしか栽培されていない「稲城」や、全国でも珍しい「秀玉」などの希少種も出荷している。「さとう園」でとれる梨はすべて予約販売で、全国に発送も。Twitterでは、四季折々の生育状況や、梨の販売状況などを発信中。
さとう園 
住所:東京都国立市谷保1508 
ツイッター:https://twitter.com/nashi_sato?lang=ja

写真/研壁秀俊 取材協力/JA東京みどり

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