2021.10.26

食べる

日本一めんどくせぇ「野菜炒め」作ってみた!調味料は塩のみ!手間暇かかるけど未体験な味に驚愕

以前、テレビで「日本一めんどくせぇ料理店」という番組が放送されました。“時短料理”や“ほったらかし料理”がもてはやされる昨今ですが、あえて「面倒だけど死ぬほどうまい=めんどうまい料理」を提供するお店というのが番組のコンセプト。紹介されるのはプロ考案の思わず「めんどくせぇー!」と叫びたくなるようなレシピ。「めんどくせぇ」の向こう側にどんなお味が待っているのか気になったので、作ってみました!

レシピから溢れ出る「めんどくせぇ」感との闘い

今回は番組で紹介された「野菜炒め」にチャレンジです。
番組公式Instagramにて公開されているレシピに沿って作っていきます。

材料(一人分)
A たまねぎ…1/6個
 ピーマン…1個
 赤ピーマン…1個
 キャベツ…60g
 ニラ…1/4束
 にんじん…1/6個
 もやし…60g
 しょうが焼き用豚肩ロース…60g

サラダ油…適量
塩…計量×0.8%

材料はごく普通の野菜炒めです。
ただし、塩の分量、計量×0.8%が気になります。計るのですね。もう面倒くさそうです。

1.Aを7mm幅で同じ大きさになるように切る。豚肉は大きめに切っておく。

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今回は赤ピーマンではなく肉厚なパプリカを使ったので、赤ピーマンの分量の半分にしています。

2.火をつける前のフライパンににんじん以外の野菜を入れて、全体が浸るまで水を入れ、弱火より少し強い火力で水が50℃になるまで加熱。50℃になったら火を止め、3分待つ。

温度計で測る

きっかり50℃になった瞬間です。
すぐさま火を切り、3分タイマーを仕掛けます。
温度と時間をここまで厳密に指定されたレシピに挑戦するのは初めてです。それがまさか野菜炒めとは。

3.3分経過した後、水を貼ったボウルに2の野菜を入れて冷ましてから、野菜を取り出し、キッチンペーパーで水気を切っておく。

4.フライパンに水を入れ、強火で加熱。沸騰したらにんじんを入れ、2分間湯通しする。2分経過した後は、にんじんをキッチンペーパーで水気を切っておく。

ニンジンを湯通し

茹でた野菜の水切りは、味付けをするときでも重要そうです。
それにしても、にんじんとそれ以外の野菜を分けるとは。野菜をおいしく食べたいという圧倒的な情熱を感じます。

5.4で使用したフライパンを流水で冷やす。冷めたフライパンに多めの油を入れ、豚肉を重ならないように丁寧に広げて並べる。弱火に調整してフライパンを火にかける。

お肉を焼く(表)

フライパンを冷やす、という作業はホットケーキを焼く時くらいしかやったことがありませんでした。
肉を焦がさないための対策なのでしょう。野菜だけでなく、肉へのこだわりも覗かせています。

6.豚肉のまわりから泡や焼き音が聞こえてきたら火を止める。焼いている面が白くなったら、裏返して余熱で火を通す。両面が白くなったら、フライパンから豚肉を取り出す。

お肉を焼く(裏)

徹底した肉を焦がさない対策。まさかの余熱です。
この辺りで、私はだんだん何を作っているんだろうという気持ちになってきました。なにかの実験やってる…?
その気持ちに打ち勝った時、未知なるおいしさが待っているはずです。

7.フライパンの残った油を拭き取り、再度フライパンを流水で冷やす。

こういう一手間が料理をおいしくする。
できる限りシンプルに、可能な限り手を抜く、そんな毎日の料理にどっぷり浸かっていた自分を省みる時間です。

8.冷めたフライパンに34の野菜を入れ、油をまわし入れる。野菜に油が馴染んだら、弱火で炒めて「パチパチ」と音がしたら焦げないようにかき混ぜながら8分炒める。

野菜を炒める(前半)

またも弱火です。
フライパンを冷やしているので、これで果たして火が通るのか不安になりました。焼き音がし出した時はほっとしました。

9.8分経ったら、火を止めてボウルに6の豚肉と8の野菜を入れて重さを測る。重さに対して0.8%の塩を加えて混ぜたら、フライパンに全て入れて弱火で2分炒める。

計量

使う塩の量を決めるために、炒めた野菜の量を測ったのは生まれて初めてです。
しかし、よく考えたら調味料の量は料理の味を決定づける重要なファクター。
実際に測ってみると、むしろなぜ今まで測らずにいられたのかという素朴な疑問が湧いてきます。
多分、面倒くさいからでしょうね。

10.弱火で2分炒めたら、最後に香り付けのために20秒強火で炒めて完成!

ようやくここまで辿りつきました。
ずっと弱火、弱火で我慢していたフラストレーションから解放される心地よさで胸がいっぱいになりつつの、ラスト20秒強火。
こんなに手間隙かかっているというのも、良いスパイスになっている気がします。

完成

野菜炒めを作ってこんなに達成感が得られたのは初めてです!
なんだかいつも見る野菜炒めより美しく見えます。

キャベツとピーマンとニラのグリーン、パプリカとにんじんの鮮やかなレッド、そして、もやしと共に白く透き通るたまねぎ。一切焦げていない豚肉は見た目にももっちりとしています。

いざ実食!「めんどくせぇ」のその先へ

一口食べて、一番の驚きはその食感でした。
お肉がとにかくやわらかい! キャベツはシャキシャキ! にんじんはほっくり!
全ての食材が、そうなるべき食感でそこにある。
そして、口いっぱいに広がる旨みと甘み。
調味料は塩しか入れてないのに、肉の旨みが引き立ち、野菜の甘みが際立っています。
食材が各々ベストパフォーマンスを繰り広げているのを、肉の脂がしっとりとまとめ上げ、ほどよい塩味で引き締まっています。
あまりのおいしさに思わず一緒に食べたい大切な人を思い出しました。
しかしレシピは一人分です。私一人で食べました。

普通の野菜炒めと比較してみた

同じ材料を使い、私がいつもやっている調理過程で野菜炒めを作ってみました。



少しわかりにくいかも知れませんが、たまねぎがやや茶色く、肉の表面がパサついている感じがします。
それでも彩りの豊かな野菜炒めであることにかわりはありません。

しかし、食べてみてびっくり! 味わいが全然違いました。

それぞれの食材の味が混ざり合っていないのです。

にんじんはにんじん、キャベツはキャベツ、肉は肉。それぞれの食材が個としてバラバラに存在し、一体感がありません。
肉の脂も、どこに行ってしまったのかあまり感じず、野菜の水っぽさと肉のパサパサ感が気になりました。
そしてこれは私のさじ加減が悪かったのでしょうが、塩が全然足りてません。
塩の入れ過ぎを気にして、量が少なくなってしまったのでしょう。

野菜炒めのポテンシャルに気づかせてくれた!

たかが野菜炒めと思っていましたが、それは私が手抜き料理として野菜炒めを作っていたからだったようです。
手間隙かけてきちんと作れば、野菜炒めは塩だけでこんなにおいしく作れる!

ただし、やはりこれを常日頃から作るというのはなかなか難しそうです。

例えば、肉の焼き方や野菜の水切りくらいだったら、ちょっとした一手間と思って取り入れることもできるのではないかと思いました。
また火加減もポイントだと思います。さくっと作るために強火がちになってしまうところを、弱火でじっくり火を通すことで、野菜の水分と肉の脂が混ざり合い、しっとりとまとめることができます。
「めんどくせぇ」の先には多くの学びがありました。あなたもお時間があるときに、ぜひ「めんどくせぇ」を乗り越えてみてください!

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