2022.02.27

住む

【花農家直伝!園芸ミニ知識】冬に人気のパンジーとビオラ、似ているけど見分け方をご存じ?【農業男子発】

花の少ない冬から春にかけて、色とりどりの花を咲かせるパンジーとビオラ。駅前の花壇や、ちょっとすてきなお宅の玄関先にもよく植えられていますよね。育てやすいことから、ガーデニング初心者にも人気の花。でも、この2つの花、見た目が似ているうえ、園芸売り場などでもよく苗が並んで売られているので、違いが分からないまま育てている人も多いのでは? そこで、パンジーとビオラを育てて13年の若き花農家に、それぞれの特徴を聞きました! 

【画像を見る】花農家直伝!パンジーとビオラって何が違うの?




教えてくれたのは、東京都東村山市で、パンジーとビオラを栽培して13年、江藤園芸の2代目、江藤博亮さんです。

大きくて豪華なパンジーと、小さくて可憐なビオラ

パンジー、ビオラはどちらも同じスミレ科・スミレ属。スミレとの違いは、スミレの花は少し先がとがっているのに対し、パンジー、ビオラはどちらも丸みを帯びています。

また、スミレは春に咲きますが、パンジーとビオラは寒さに強く、冬でも花を咲かせるため、冬から春のガーデニングには欠かせない存在です。



「左のビオラはパンジーに比べて花が小さく、花がいっぱい咲きます。右のパンジーも苗が大きくなればいくつか咲きますが、基本はポットに一輪ずつです」(江藤さん)

一般的にパンジーとビオラは、花の大きさで区別されているそう。品種改良が進み、厳密な区別はなくなってきているそうですが、「大きく豪華な花を咲かせるパンジー」と、「小さく可憐な花をいくつも咲かせるビオラ」と覚えておくといいですね。

組み合わせを迷ってしまうほどの豊富なカラー



色が豊富なのも人気の一つ。パンジーとビオラは、毎年さまざまな新品種が誕生し、鮮やかな原色や淡いパステル調、ニュアンスカラーや2色咲きのものなど、本当に色とりどり!

江藤園芸ではパンジーを6色、ビオラは7色を栽培。オススメの色を伺うと…

「すごく聞かれるんですけど、『お好みで』と答えます。よく売れるのは定番の黄色や白ですけど、ピンクっぽいのも人気があります」(江藤さん)



江藤園芸では、定番カラーを9割、新色を1割の割合で育てているそう。最近ヒットしたのがピンクのビオラです。

「女性に人気ですね。初めて作ってみて、こんな鮮やかな色になるんだって。試行錯誤しながら育てているので、同じ種でも、色が薄くなってしまったり、まだらになったりと、うまく色が出ないものもあります」(江藤さん)



市場に出荷するほか、1苗100円で、直売も行っている江藤園芸。

「お客さんには、栽培している苗を手に取って、好きなものを購入してもらっています。1度に10苗くらい買う方もいます。寄せ植えにするため、色の組み合わせを30分以上迷っている姿もよく見かけますよ」(江藤さん)

直売スペースや、のぼりなどはありませんが、江藤さんやご家族がいるときは、声をかければ直接購入可能。口コミで多くの客が訪れるそうです。

パンジーの由来はチンパンジーの顔に似ているから??

ちなみにパンジーの名前の由来をご存知ですか? まさか花の中心のまだら模様がチンパンジーの顔に似ているから、というまことしやかな説を、信じていませんか?

「パンジーはチンパンジーに似てるから付いた名前ですよね?」とカメラマンが小学生の頃に聞いた噂を尋ねると、江藤さんは「そうなんですか!」と驚いた様子。



確かにそう言われるとチンパンジーの顔に見えなくもないのですが…。

正しくは、パンジーは、フランス語の「pensée(パンセ)」(意味は、思い、考え)が由来で、物思いにふけているような人の顔に見えることから付いた名前だそう。

日本では江戸時代末期に「人面草」とも呼ばれていたそうで、小学生が間違えるのも無理ないですよね。

そんな微笑ましい噂を思い出しながらパンジーの表情を観察するのも、育てる楽しみの一つになるかもしれませんね。


江藤博亮さん

江藤園芸 

東京都東村山市で花苗の生産・直売を行う江藤園芸の2代目。結婚を機に就農するも、それまでは整備士をしていた異色の農業男子。秋~冬はパンジー、ビオラ、春~夏はペチュニア、ベゴニア、マリーゴールドなどを主に生産し、花市場に出荷している。インスタでは、花々の開花状況や夏に行うブルーベリーの摘み取り体験の予定などを発信中。
住所:東京都東村山市廻田町4-18-3
インスタグラム:https://www.instagram.com/etoengei/

写真/松木雄一 取材協力/JA東京みらい

Pick up

Related

Ranking