2023.10.08

食べる

【味玉の沼】え、半熟煮卵専門店⁉珍しい商いの「こだま屋」に行って「変わり味付け煮卵」食べ比べてみた



まずは、ド定番の「塩」。
半熟度合いも同時にチェック。



卵の清純さを際立たせる美しい白、その白に包まれた情熱的なオレンジ。
なんとも美しいコントラストです。
このオレンジの濃さはやはり半熟ならでは。
とろりとした艶、テリも魅力的な一玉です。

白身のプリンとした食感と口の中でとろける黄身の旨味。
これをこの上なく引き立たせるのは塩を置いて他に無し。
この卵がお弁当に入っていたら、筆者はお昼の時間が待ちきれず早弁すること間違い無しです。


続いて、こちらも王道「だし醤油」。
塩とは違ったまさに「煮卵」といった風情のこの色味は、例えるなら照りつける太陽のもと、脇目も振らずボールを追いかけるテニス部員のようなストイックさとアグレッシブさを感じます。



口に入れた時、塩と同じく確かに黄身の旨味を引き立てる良い塩梅のしょっぱさがありますが、だしの香り、風味が相まって奥深さを感じます。
この手の煮卵はラーメン屋さんにあるイメージですが、こちらはこれ単体で繊細な味わいを楽しみたい。


続いて、少しだけパンチを聞かせた「ニラだれ」。
ニラはかなり香りが強く、卵のような繊細な味わいのものに混ぜると主張が強くなりすぎるのではと危惧しましたが…



一口食べて納得。
ニラのシャキシャキっとした繊維質の食感が煮卵に楽しみをプラス。
ニラ独特の強い香りも、黄身の旨味にやさしく包まれトゲがなくなりまろやかに。
むしろ卵の懐の深さを強く感じさせてくれました。


お次は筆者的にはギリギリラインを攻めている「特製ラー油」。
ラー油といえば餃子。肉のようなガツンとくる強めの旨味と脂味を引き立たせるものと思っていましたので、茹で卵という比較的あっさりしたものには合わないのでは、というのが筆者の予想でしたが…



予想は裏切られ、前提は覆る。
筆者の狭い見識などこだま屋の煮卵の前には、ブルドーザーの前の小石も同然。
ラー油のピリッとした味わいがアクセントになり、程よくあっさり。
濃厚だけが煮卵じゃない、ちょっとツウな気分になれるお味。



さてここからは冒険の領域へ。「ネギ味噌ゆず」です。
この味付けはネギと味噌とゆずのバランスの繊細さゆえ、とっても危険な賭けになると思われます。



例えるなら、主役級の俳優たちが「名脇役」の座を賭けて競演するハリウッド映画。
果たしてそこで主役を務める煮卵は、放り込まれなすすべなく立ち尽くす無名俳優になるのか、それとも脇役全員を食ってしまう怪物俳優なのか。

一口食べて、筆者は反省を促されました。
煮卵は大根役者でも怪物俳優でもなく、全ての役者を生かしながら自らも輝く「監督を兼任しちゃう系主演俳優」だったのです。
ネギ味噌の旨味と塩味にゆずの爽やかな香りを見事に交通整理して、卵の甘みを存分に発揮。
煮卵、器用すぎるだろ。



そして最後は、今回の企画における最大のじゃじゃ馬「ブラックペッパーチーズ」。
卵と並んで「濃厚」という表現が多用される食材、チーズ。
確かに相性は悪くなさそうですが、両者のガチンコ対決となると口の中でビッグバンが起きそう。



そんな筆者の不安など夏の木陰に吹く細やかなそよ風。
濃厚×濃厚がこんなにこんなに爽やかになるとは、意外でした。
ブラックペッパーが清涼感をプラスしてくれてはいますが、それにしてもちょうど良い軽やかさ。
しかもなんだかおしゃれで洗練された都会的な雰囲気もあるので、煮卵とはいえバーやカフェレストランなどでもテーブルに並びそうな気さえします。

煮卵は確かに沼かもしれない

今回の取材で筆者が思ったのは、「煮卵ってこんなに幅広いものなんだ」ということ。
守備範囲が広すぎて何でもありなんじゃとさえ思わされました。
こうなると、こだま屋にあった他の「冒険」ものにも俄然興味が湧いてきます。

さぁ、煮卵の深淵が気になったあなたは、こだま屋へ!

こだま屋 東京都江東区木場2-6-7 セブンスターマンション 1F
開店時間は11:30~21:00となっていますが、筆者が買いに行った時は夕方からでした。
日によるものと思われますのでご注意ください。
半熟煮たまご丼やチャーシュー煮たまご弁当などもありました。



※記事内で紹介した商品は、掲載当時の情報であるため、在庫状況、価格などが異なる場合があります。

Pick up

Related

Ranking