2021.12.31

食べる

【おせち料理トリビア】「お煮しめ」の具材に欠かせない里芋。実はとっても縁起の良い食材だってご存じ?

おせち料理の定番「お煮しめ」には、山の幸、海の幸を一つの鍋で煮ることから「家族が仲良く、末永く繁栄する」という願いが込められています。さらに、お煮しめの具材それぞれにもおめでたい云われがあるんです。今回はそんな具材の中から里芋に注目!縁起がよいと言われる理由を確かめるべく、ある場所へ向かいました…。


【画像を見る】里芋がお煮しめに入っている理由を解説!



訪れたのは東京都国分寺市の「小坂農園」、江戸時代から代々農業を営んでいる小坂知儀(ともよし)さんと千鶴(ちづ)さん夫妻に話を聞きました。

ズバリ伺います!小坂さん、どうして里芋は縁起の良い食材なんですか?

「その理由は芋の育ち方にあります。里芋は親芋(種芋)から、たくさんの子芋、孫芋が収穫できるんです。そのため、“子宝に恵まれる”“子孫繁栄”を願って食べられている、というわけですね。収穫時の姿が分かりやすいので確認してみますか」と、見せてくれたのは収穫したての里芋。

と、いうより土の塊…?なるほど、普段目にする里芋とはずいぶん様子が違います。



とんとんとん、と地面で土を落とすと、元になる「親芋」のまわりに「子芋」「孫芋」がついている様子が見えてきました。



「真ん中にある大きく育った芋が、親芋。最初に土に埋めるのがこの芋です。親芋が成長すると、親芋の側面に子芋が、子芋が成長すると子芋から孫芋が育ってくるんです」(知儀さん)

親芋から多い時には20~30個の子芋や孫芋が収穫できる里芋。

1つの芋からこんなにたくさん収穫できるなんてすごい!縁起の良い芋と呼ばれているのも納得です。


親芋と子芋を比べてみると、大きさがこんなに違います!

めったに出回らない!?第二の親芋

リズムよく収穫されていく里芋の中に、親芋とも子芋とも孫芋とも違う見た目の芋を発見。

このマラカスみたいなのは何でしょう?



「これは子頭(こがしら)と言って、親芋が一定以上に成長すると出てくる子芋。子頭は地上に葉っぱを伸ばすので他の子芋に比べると大きいのが特徴です。マラカスの持ち手みたいな部分は葉の茎ですね」(知儀さん)



「こんなふうに親芋の脇にぽこぽこついてくるんです」と、知儀さん。

なんだか親の分身みたいですね。

「確かに。台風で葉っぱが倒れて枯れてしまったときなど、メインの親になにか起こったときのために出てくるのかもしれません」(知儀さん)

市場に出回るのは孫芋や子芋。小頭や親芋は大きいためスーパーなどではなかなか見かけません。

「里芋栽培が盛んな地域であれば、直売所などで子頭や親芋を見かけることがあります。ぜひ探して食べてみてくださいね。子芋や孫芋に比べると少し固くて火が通りにくいですが、食感が良いので揚げ物などにするととてもおいしいですよ」(千鶴さん)



里芋は食物繊維が豊富に含まれ、ビタミンBやカリウムなど、栄養面のバランスもバツグン。その歴史は長く、さかのぼると縄文時代から栽培していたといいます。

縁起も栄養もたっぷりな里芋。たくさん食べて新年も元気に過ごしましょう!

小坂農園

東京都国分寺市に江戸時代から続く農家。小坂知儀さん・千鶴さん夫妻と両親で家族経営をしている。栽培面積は合計2ヘクタール。7歳、5歳、2歳の子どもたちの子育て中で、地元の児童館や保育園の子どもたちのために収穫体験も行う。減農薬栽培で年間約100種類育てる野菜は、自宅敷地内の直売所、国分寺ファーマーズマーケット、スーパー、レストラン、小学校・中学校の給食の他、毎週土曜日にアークヒルズのアーク・カラヤン広場で開催される「ヒルズマルシェ」でも販売。

写真/菊地菫 おせち写真/PhotoAC 取材協力/JA東京むさし

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