2022.03.17

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【料理温故知新】さつまいも…普通に食べてもうまいけど「干したら」メチャうま!【サステナ昭和暮らし】

さつまいもはお好きですか? スイーツにしてもお惣菜にしてもおいしいさつまいも。ほんのりとした優しい甘さは、さらに甘い味付けにしても、塩味を加えても絶妙にマッチしてくれる、とても使いやすい野菜の一つです。その使い勝手の良さから、筆者宅では冷蔵庫の準レギュラー。シーズン問わず、お弁当に、おかずの一品にと大活躍です。今回はそんなさつまいもで新境地、「切干」にチャレンジしてみました!

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「サツマイモの切干」はこの雑誌から…



当メディア「あたらしい日日」の背景には、月刊『家の光』という家庭雑誌の存在があります。その歴史は古く、大正14年の創刊。上の画像は古い月号の記事の中からピックアップしたものです。当時の読者が実際に行なっていた切干の作り方を『家の光』に投稿したものと思われます。

サツマイモの切干、と銘打ってはいますが、これって「干し芋」ですよね?
わたしは「干し芋」を作るので間違いないですよね?
そんな不安からスタートした今回の干し野菜。
芋に関してはさつまいももじゃがいもも大好物ですので、さっそく「サツマイモの切干」作りにレッツ⭐︎トライ!

とその前に。

どうしても名前が気になったので調べてみた

干し芋の発祥は明治時代末期の静岡だそうです。
それが茨城県に伝わり現在に至っているとのことですが、静岡では「芋切り干し」、または「芋切り」と呼ばれるそうですが、茨城の農家さんの間では「乾燥芋」というらしいです。
全国的には「干し芋」と呼ばれているわけですが、このことから考えると、もしかしてこの記事を書いた方は静岡出身なのかもしれませんね。

ちなみに、全国の干し芋の90パーセントは茨城県産。
かつては煮切干という生産方法だったのが、蒸切干(蒸して乾燥させる)に変わったらしいです。
この記事は煮切干ということになりますね。蒸すより楽そうでよかったです。

サツマイモの切干、レッツらゴー!

今回のメインゲストはこちら!



丸々としているのにどこか無骨な凸凹が魅力的なさつまいも。
色味もセクシーです。

まずはこの芋を「小さく刻み」ます。



どれくらい小さく刻めば良いのか、そこが問題です。
わたしは生真面目にこんなに小さく刻んでしまいまいしたが、よく考えたらこれは最終的には干し芋になるもの。
この切り方では、わたしの知っている干し芋と違います。

ちなみに、干し芋について調べると、切り方もいろいろあるみたいです。

平干し芋:薄くスライスした干し芋
丸干し芋:スライス無し、ごろっとそのままの干し芋
角切り干し芋:角棒状にカットされたもの。平干し芋より厚みがある

などなど。おそらく探したら切り方はもっとたくさんあるかもしれません。
ただ、家庭の庭先で手軽に、三四日で干そうと思ったら、細かく刻む必要があるのでしょう。
野菜の保水力、ナメてかかると失敗しますから。

続いての工程は「茹でる」



熱湯で「さつと茹でます」とのことですが、この「さつと」とはどれくらいなのでしょう。
料理は何をするにしても加減が難しい。



もう食べたいです。このまま食べたい。
いい色に仕上がりました。

この後「袋に入れ、強く絞って水気を去り」とありますが、袋で絞る?
袋はもちろん「布の袋」ということでしょうか。
ただ、野菜の水切りに使うような布の袋が見つからなかったので、キッチンペーパーを重ねて、強く絞りました。
茹でて柔らかくなっているのでは? 強く絞ったら潰れてしまうのでは? という筆者の親心にも似た不安をよそに、芋は意外と強いようです。
全く形を変えることなく、絞ることができました。
茹ですぎるともしかすると形が崩れてしまうかもしれません。だから「さつと」なのかも。

これを蓆(むしろ)に広げます。

わが家には蓆が無いので、変わりとなるのはダイソーにて購入した野菜干しネットです。
これまでナス、カボチャ、ダイコンとさまざまな野菜を干してきましたが、今回も大活躍。
100円以上の働きをしてくれています。筆者の七つ道具に認定して差し上げよう。



広げた様子がこちらです。



今までで一番細かく刻んだ野菜ですが、コロコロして可愛いですね。
ここから水分がなくなると、どのようにルックスが変化するかも楽しみだったりします。



3日目です。
いかがでしょう。変わってきましたね。
心なしか、色がオレンジがかっているような、濃くなってきたような。
きっと味もギュッと詰まってきていることでしょう。



4日目です。
いよいよ乾いた感じがしますが、本当に乾いているのか。
今回は事前に茹でているし、大丈夫だろうと思って一つ食べてみました。
普通においしい!! あ、これ干し芋だわ! と思いました。
ただし、まだ少し水分が残っているように感じたので「からからに乾燥」するまであと一歩。



5日目にして取り込みました。
完全に乾いています。



密閉容器に食品用乾燥剤と一緒に入れて保存!
10日ほどそのままにしてみましたが、全く問題なく食べられました。

いざ、実食!

まずは記事にあるみそ汁にしてみました。
さつまいものみそ汁、おいしいですよね。切干のさつまいもを入れるとどんな風になるんでしょう。



まずは水につけてやわらかにします。
乾燥野菜を食べる時、水につけても煮付けても、中の方が乾燥したままということがあった筆者。今回はこれまでの教訓を胸に結構長いこと水につけました。
その時間、およそ4時間。

4時間後のサツマイモの切干がこちらです。



かなり水を吸ってますね。見るからに様子が違います。
これで中までしっかり水で柔らかくなったはずです。

これをおみそ汁に入れました。
しめじと菜の花とサツマイモの切干のみそ汁がこちらです。





小さく切ったおかげでかなり慎ましい仕上がりにはなっていますが、さすが干してもサツマイモ。
その甘みとほっくり食感による癒しパワーは健在です。
干すことによって味がギュッと濃くなっている感じもしました。

この食感から確かな手応えを感じた筆者は、干す段階から構想していたもう一つの食べ方に挑戦しました。
そう、さつまいものスイーツ的な食べ方の代表格、「大学芋」です。

「さつと」揚げてしょうゆやみりん、砂糖などを混ぜたタレに煮からめた、芋の甘味とほくほくした食感を存分に味わうことができる大好きなスイーツです。

ちなみにその名前の由来は諸説あるそうで、日本いも類研究会でさえ「おいもの世界の七不思議」の筆頭に挙げていい難問としています。他の不思議も気になる。
有力なのが「大正から昭和にかけて学生街で好んで食べられた」という説らしいですが、「大学芋を作るのは子供を大学に入学させるのと同じくらい大変だから」という説もあるらしいです。
素朴なスイーツですが、「若人のナウでヤングなおやつ」から「親の愛と嘆き」みたいなものまでカバーする奥深い食べ物だったのですね。
ともあれ筆者の心はもう大学芋に向けて走り出しているので、あとはもう突っ走るだけなのです。



水で戻しているとはいえ、一度はからからになったものを油で揚げるのは大丈夫なのでしょうか。
完成が待ち遠しい。



これだけでもうおいしそう。さつまいものフライドポテトとしてもう食べたい。
その衝動をグッと堪えて、タレに煮からめます。



黒ごまをふって完成です。
甘辛ほっくり大学芋、とても美味でした。
まさか一度乾燥させた芋とは思えないクオリティ。
ただし、大学芋を作るなら、もう少し大きめに切っておくべきだったと後悔。
しっかり水で戻せば食感は普通のさつまいもと遜色ない様子でしたので、何を作るかによってはもう少し大きく切って干してもいいかもしれません。

干すと味が濃くなるからこそ、甘~いさつまいも

普通に食べても甘くておいしいので、干して味がギュッと濃くなった切干のおいしさは言わずもがな。
水で戻したら元の状態とほとんど変わらなくなるのも、干す前の「茹でる」という工程に秘密があるのでは、と思います。
おかずにもおやつにもなるサツマイモの切干、ぜひご家庭でチャレンジしてみてください!

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