2022.08.01

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【希代の美食家】あの魯山人が考案「鮪の茶漬け」を作ってみた!ご飯×お茶×まぐろだけで至高の味に⁉

サラサラッといただける「お茶漬け」はサッと食べたいときや食欲が無いときにぴったりなメニューですよね。筆者は、おいしさよりも手軽さを求めて作る料理だと思っています。ところが先日、食通として名を残している北大路魯山人が「鮪の茶漬け」について熱く語っているエッセイを読みました。彼のこだわり通りに作れば、極上のお茶漬けを食べられるのでしょうか。美食家の愛した味を再現してみましょう。

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食にも芸術にも精通、才能あふれる北大路魯山人

北大路魯山人(本名・北大路房次郎)は1883年に現在の京都市北区上賀茂に生まれ、1959年まで生きた才能あふれる人物です。里子に出された養家で料理を覚えたことがグルメ人生の発端になったと言われています。料理家や美食家をはじめ、篆刻家、画家、 陶芸家、書道家、漆芸家などさまざまな分野で名を馳せました。グルメマンガ『美味しんぼ』の海原雄山のモデルになっていることでも知られています。

北大路魯山人の「鮪の茶漬け」にはこだわりが満載


魯山人のエッセイ『鮪の茶漬け』を読むと、食材や作り方に対するこだわりが細かく書かれていて、おいしい物好きな筆者は「この通り作れば極上のお茶漬けを食べられるのでは?」と興味が湧きました。魯山人のこだわりをかいつまんで紹介します。




ご飯はすし飯のかたさで生温かい程度に冷ましたものを用意すること。冷やご飯は絶対にいけないと断じています。



お茶は煎茶に限ると断言しています。香味と苦味が必要なため少し濃いめにお茶を淹れるのが良いと記しています。薄い煎茶はダメ、番茶でもおいしくない。お茶は最上のものを使うのがおいしさの秘訣だそうです。魯山人は煎茶の中でも、寿司店で出されるような上等な粉茶をおすすめしています。



残念ながら粉茶を入手できなかったので老舗茶舗・福寿園の「抹茶入り煎茶 賀茂川」を用意しました。賀茂川は京都市内を流れる川。魯山人の出身地・上賀茂にも流れているのでご縁がある煎茶に思えて選びました。深い緑色と独特の香味が特徴と記されていて「鮪の茶漬け」に合いそうです。



まぐろはトロ、中トロ、赤身など好きな部位を選んで良いとのこと。年齢や性別によって好みの傾向があるため、まぐろは個人の嗜好に合った部位や品種を選べば良いとしています筆者は赤身が多くさっぱりとした味わいのきはだまぐろを選びました。

魯山人のレシピで「鮪の茶漬け」にトライ!



【材料・1人分】
ご飯…茶碗に対して半量
煎茶…適量
まぐろの刺身…3切れ
大根おろし…1つまみ
しょうゆ…適量
わさび…お好みで

1.硬めに炊いたご飯を茶碗の半分くらいに盛ります。



直径12㎝の茶わんを使用。半分くらいにご飯を入れると150gでした。

2.生ぬるくなる程度にご飯を冷まします。



炊飯器からよそったご飯は64.6℃でした。このまま少し冷まします。



10分経つと52.2℃に。手をかざしてみるとほんのり温かさを感じる程度。良いでしょう。

3.熱湯を少しずつ注ぎ、濃いめの煎茶を入れます。



煎茶のパッケージには70℃のお湯を入れて1分半蒸らして注ぐと記載されていますが、濃いめが良いので3分蒸らしてみました。苦みを感じる力強い緑茶の香りがします。

4.ご飯の上にまぐろを乗せ、しょうゆを適当にかけ、大根おろしを添えます。



1枚ずつ平たく並べるのがポイントです。魯山人は「大根おろしはあれば尚よし」としているので添えます。しょうゆも適当にかけましょう。

5.まぐろが浸る程度に煎茶を注ぎます。



熱々の煎茶を注ぐと、ゆっくりとまぐろが白っぽく変わっていきました。ゆっくりと熱が入っていますね。

まぐろがねっとりとやわらかい!あぁ、ひと口、ひと口噛みしめたい!



まずは汁からいただきます。「苦い!」いつもはお茶漬けの素を使っているので、濃いめに淹れた煎茶の風味がダイレクトに広がります。

気になるまぐろは、煎茶の熱のおかげで全体がほどよく温まり、刺身のような冷たさはなく完全に炊いたようなかたさもありません。ねっとりとした食感ととろっとした口どけがおいしいです。ご飯もほどよく冷ましたことで熱々の煎茶を入れても「熱っ!」ということがなく、ちょうどよい温度に仕上がっていました。わさびはまぐろに少し乗せて食べると風味がふわっと広がります。

最初は煎茶が苦いと感じましたが、ご飯に味が無い分、濃い煎茶で全体を引き締める必要があるんですね。ただ、大根おろしは煎茶に負けて存在感がありませんでした。無粋かもしれませんがのりを乗せてもおいしいと思います。

魯山人こだわりの「鮪の茶漬け」を作ってみて…魯山人がそれぞれの食材に対してこだわっていたことは、全体のバランスを計算した上でのことだったということが分かりました。お茶漬けはサラサラッといただくもの、そんな常識が通用しない「鮪の茶漬け」。今回はあっさりとした味わいのきはだまぐろを選びましたが、脂身の多いまぐろを選んだ場合は、より苦みのある煎茶が合うと思います。素材の繊細な味の違いを感じ取り、組み合わせを考える。それが美食家の性なのだろうと「鮪の茶漬け」から感じました。

お茶漬けサラサラッもいいですが、贅沢感を味わえるお茶漬けもアリですよ。

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