2022.10.09

食べる

【レシピ語クイズ】「あら熱をとる」って何℃まで冷ますの?ギリ触れる「60℃」お風呂位の「40℃」?

管理栄養士のともゆみです。レシピによく出てくる表現で「あら熱をとる」という言葉があります。料理の工程やお菓子作りにも頻繁に見かけます。「あら熱」とは熱々に加熱された手ではさわれないほどの熱さのことだそうですが、そこからどのくらい冷ませばいいのでしょう? 情報番組『バゲット』の「プロが解説! わかりづらいレシピ語解明クイズ」の特集で紹介していました。さまざまな効果があるようなのでまとめてみました。

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ではクイズです。

Q.「あら熱をとる」温度とは手で触れるギリギリの温度60℃くらいか、お風呂の温度と同じ40℃のどちらでしょうか?



出来立て熱々の料理です。ここからどのくらい冷ましていけば「あら熱をとる」ことになるのでしょう?

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正解は…

60℃です。


「あら熱をとる」とは完全には冷まさず、熱々の状態から少し冷ますという意味です。そのメリットですが、食材や料理によって「あら熱をとる」理由が変わります。

「あら熱をとる」メリット

① 皮を剥きやすくする
じゃがいもなどを丸ごと茹でて調理する場合、あら熱をとることで、触りやすく、剥きやすくなります。

② 香りが飛ばないようにする
ゼリーにリキュールで香りづけをする時に、熱で香りが飛ばないようにあら熱をとってから入れます。
下の画像はぶどうゼリーにコアントローというリキュールを使って香りづけをしています。このタイミングが60℃くらいです。

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③ 料理の形が崩れるのを防ぐ
卵焼きや煮魚などは出来立ては形が崩れやすいです。卵焼きはあら熱をとってから切ると、断面がきれいになります。煮魚はあら熱をとってから盛り付けると身崩れしにくいです。
下の画像は失敗したケース。あら熱がとれる前に煮魚を動かそうとしたら柔らかすぎて身が割れてしまいました。

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④ 味を染み込みやすくする
煮物はあら熱をとる過程で味が染み込みおいしくなります。
小松菜などの野菜は茹でたあと、あら熱をとってから絞って冷まし過ぎないうちに味付けすると味が入りやすいです。また、あら熱をとるために水につけると水っぽくなるので、自然にさました方がおいしくなります。ただしほうれん草などのアクの強い野菜は水でアクを流す必要があります。
ポテトサラダのじゃがいもは熱すぎても冷まし過ぎても味が入りにくいので、熱いうちにつぶしてあら熱をとってから混ぜるようにしましょう。

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「あら熱をとる」は、調理中/調理後で定義が変わるといいます。調理が終わってすぐに食べない場合の「あら熱をとる」は60℃ではなく、室内の温度(常温)に戻すという意味です。ここからはすぐに食べない場面での「あら熱をとる」メリットです。

⑤ 水滴を付きにくくする
保存容器に移すときにあら熱をとらないと、容器に水滴が付きます。水滴が付くと、風味を損ね、料理の傷みが早まります。特にお弁当は常温で持ち歩くので注意が必要です。
↓ご飯が温かい状態でふたをしたら、開けた時ふたに水滴がびっしり付いていました。

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⑥ 冷蔵庫内の温度を上がりにくくする
すぐに食べない場合や冷やすときには、室温に戻してから冷蔵庫へ入れます。
画像は②のぶどうゼリーを室温まで冷ましてから冷蔵庫へ入れました。

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カレーやシチューなど粘度のあるものを常温まで下げようとすると、夏場は数時間以上かかることもあります。かと言って熱いまま冷蔵庫に入れるのは絶対NG!冷蔵庫内の温度が上がって他の食材が傷みやすくなってしまいます。加熱した食品を冷ますとき、40℃前後で細菌が繁殖しやすくなります。その温度帯を早く通り抜けるために氷水に浸けてしっかり冷やすと、常温のまま放置するよりはるかに早く常温まで冷ますことができます。

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ウェルシュ菌について
カレーの食中毒の原因になるのはウェルシュ菌です。一般的に菌は熱に弱い性質があるとされていますが、ウェルシュ菌は強い芽胞を作り、100℃の熱でも死滅しない特徴があります。肉や魚、野菜などに付着し、調理する過程で熱を加えても生き残るのです。ウェルシュ菌は空気が苦手なため、粘度の高いカレーやシチューが好条件となります。50℃以下で繁殖し始め、43~45℃では爆発的に増殖してしまいます。

ウェルシュ菌が体内に入ると、下痢や腹痛を引き起こします。カレーやシチューは冷めにくいため、常温でそのまま放置していると、ウェルシュ菌が増殖する温度帯に長い間晒されることになり注意が必要です。そのためカレーやシチューなどを作る場合は、1回で食べきる量を作るか、残った場合は急速に冷やしてウェルシュ菌を増やさないことが大切です。

「あら熱をとる」温度とは、熱々から少し冷ました”60℃”と、冷蔵庫に入れられる温度の”常温”の2パターンがありました。おいしくなる秘訣だったり、安全に食べるために必要だったりと様々ですね。

それぞれに理由があったので、しっかり覚えておこうと思います。
みなさんもぜひ参考にしてみてください。

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