2022.12.23

働く

【農業女子インタビュー】教員からまさかの柿農家に!?季節を肌で感じるうちに…あれ、こっちが天職かも(笑)

奈良県五條市で100年以上にわたって農業を営む「なかい農園」を、夫とともに切り盛りする中井加名さん。Instagramで農園情報や、栽培する柿やキウイのレシピを精力的に発信する加名さんですが、じつは元教員という異色の経歴の持ち主なんです!天職だと感じていた教員を2年前に辞め、就農した加名さんに、決断のきっかけや日々の農作業の様子など、詳しく話を聞きました♪

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奈良県五條市は柿の大産地。なかい農園では柿とキウイフルーツを栽培しています。

現在農園を営んでいるのは、中井徳高さんと加名さん夫妻ですが、結婚した当初、農園を切り盛りしていたのは徳高さんの両親でした。



「夫も別の仕事をしていましたし、わたしは支援学校で教員をしていて、充実した毎日を過ごしていました。繁忙期にはお義父さんとお義母さんを手伝っていましたが、あの頃は夫もわたしも、継ぐつもりはなかったですね」(加名さん)

そんななか、徳高さんが就農を決意。4年前に仕事を辞め、5代目として農園を率いることになりました。



「夫は柿栽培の作業自体が好きでしたが、なによりお義父さんお義母さんも高齢になり…そんな姿を間近で見て、息子として思うところがあったようです」(加名さん)

一方、徳高さんが農園を継いでからも、加名さんは教員を続けていました。



「教員の仕事はあえて続けることにしたんです。農業は病気やケガで作業ができなくなったり、不作になったりすると収入がなくなってしまいます。そんなときでも、わたしが教員を続けていれば、安定して収入を得られますから。それに、なかい農園の柿を初めて食べたとき、そのおいしさに本当に感動して。夫が農家を継ぐと決めたとき、その味を繋いでいくことを応援したい気持ちが強かったですね。お金はわたしが稼ぐから任せて!くらいの気持ちでした(笑)」(加名さん)

現在のように、夫妻で農業を営むまで、どんな心境の変化があったのでしょうか?



わが子の我慢にハッとして

「教員は子どもの成長に関われる素晴らしい仕事で、わたしにとって天職だと思っていました」(加名さん)

その一方で、「子どもにとっては教師ではなく親の存在がいちばん」とも感じていたそうです。

「うちには子どもが2人いますが、毎日忙しく休みの日も仕事モードなわたしに、子どもたちが気を遣って我慢しているのを感じていました。今振り返ってみると、学校の生徒に一生懸命で、わが子には寂しい思いをさせていたんですよね…」(加名さん)



「教員をしていたからこそ分かるのですが、子どもが大きくなるのは、本当にあっという間なんです。そんな大切な時期に、親としてわが子に寄り添わなくていいのかという葛藤は、いつもどこかにありました。仕事を辞めて何が変わるかわからないけれど、タイミングを逃したら、きっと後悔するだろうなとも」(加名さん)

教員を辞めるという選択を意識しながらも、なかなか決心できずにいたそんなある日。通勤路にあったモクレンの木が伐採される場面に遭遇し、その光景に「はっ」とさせられたと言います。



「いつも当たり前にあったモクレンが伐採されたことで、何事も永遠じゃないんだと気づかされたんです。今、自分が決断して動かなければ後悔する、そう思いました」(加名さん)

モクレンに背中を押された加名さん。教師を辞め、徳高さんとともに柿農家になる道を選びました。

教員時代は空を眺めたことさえなかった…

天職と信じていた教員の仕事。いろいろと考え、悩んだ末の退職でしたが「まったく後悔はありません。もっと早く決断すればよかったと思うくらい」と、明るく語る加名さん。その理由を尋ねると…



「わが子と一緒に過ごす時間が増えた喜びはもちろんですが、季節の移り変わりを感じながら自然の中で仕事をすることが本当に気持ちよくて。ものすごく癒されます。教員時代も外には出ていたはずなのに、空を見て季節を感じることはなかったんですよね。農家同士の繋がりも温かく、旬の野菜や果物を味わうたびに、就農してよかったなあと感じます」(加名さん)

加名さんは、そんな農園の光景をInstagramで発信しています。

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なかい農園(@nakaifarm_)がシェアした投稿


「うちの農園は山の上にあって景色がとってもきれいなんです。この美しさをたくさんの人に知ってもらいたいし、写真を通して、癒しになったら。おかげさまでフォローしてくださる方も増えて励みになっています」(加名さん)



柿農家として新たな人生を歩み始めた加名さん。最後に、これからの夢を聞きました。

「うちの農園の柿を、もっとたくさんの人に食べてもらいたいし、知ってもらいたいです。農園や直売所を人が集まる場所にもしたいですね。夫とともに、ちょこちょこDIYしていますが、将来的にはキャンプ場やバーベキュー場も作れたらいいなって。この景色ときれいな空気で、訪れる人が癒される、そんな農園にしたいです」(加名さん)

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もちろん農家の仕事は楽しいことばかりではありません。覚えなければならないことも大変なことも、たくさんあるそう。それでも「選んだ道に悔いなし」と、笑顔輝かせる加名さんでした。




なかい農園

中井加名さん

明治初期から100年以上続く柿農家に嫁ぐ。脱サラして農園を継いだ夫に続き、それまでの仕事(教員)を辞めて専業農家に。現在は柿とキウイの栽培しながら、Instagramで柿・キウイのレシピを発信中。夢は「なかい農園の柿のおいしさをたくさんの人に知ってもらうこと」と「農園の直売所を人が集まる癒しの場所にすること」。二児の母。

Instagram:https://www.instagram.com/p/CgVIZezhA32/

写真提供/なかい農園 取材協力/JAならけん

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