2023.06.04

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【歯磨きの新常識】磨いた後に口をゆすぐのは…1回⁉何ならゆすがなくてもいい⁉虫歯予防の鉄則とは?

TBSの朝の情報番組『THE TIME,』で紹介していた「歯磨きの新常識」に、わたしはたまげてしまいました!なんと、歯磨き後に口をゆすぐのは、約10mlの水でたった1回だけでいいんですって。約10mlって、ペットボトルのキャップ2杯分くらい。大さじ1杯は15mlなので、それより少ない量ということに…びっくりですよね。ちゃんとゆすげないと思うけど…。このなかなか信じがたい“歯磨きの新常識”についてレポートします。

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新常識!歯磨き後のうがいは10mlの水で1回だけ⁉︎

歯磨き
※画像出典:photoAC

2023年1月1日付で「一般社団法人 日本口腔衛生学会」「公益社団法人 日本小児歯科学会」「特定非営利活動法人 日本歯科保存学会」「 一般社団法人 日本老年歯科医学会」、以上の4学会が合同で「“フッ素入り”歯磨き粉の推奨される使い方」を発表しました。そこには、年齢別の“フッ素入り”歯磨き粉の使用量や使用方法などがまとめられています。

その中で、番組が注目したのは、歯磨き後の口のゆすぎ方。なんと、「歯磨きの後は、歯磨剤を軽くはき出す。うがいをする場合は少量の水で1回のみとする」と記載されているんです。

この“少量の水”について、番組の中で東京医科歯科大学の相田潤教授は「水の量はペットボトルのキャップ2杯分ぐらいで大丈夫です」と言っていました。

えっ!?ペットボトルのキャップ2杯分???

キャップ

ペットボトルのキャップ2杯分は、だいたい約10ml。計量カップで量ってみると、下の画像の青い矢印のところ。大さじ1杯(15ml)より少ない量ということです。少なっ。

水
ペットボトルキャップ2杯分の水の量

相田教授は続けて、「歯磨き後は水でゆすがなくてもいい、歯磨き粉をペッとはき出すだけでいいと指導をしている論文もあります」とも言っていました。

ひと昔前までは、歯磨き後は「歯磨き粉が口からしっかりなくなるまで何度もうがいする」と指導されていたような気がするし、それに、ペットボトルのキャップ2杯分の水では、口の中の歯磨き粉はなくならないと思うのですが、それは、大丈夫なのでしょうか?

相田教授によると、うがいを少量の水で行う理由は、「歯磨き粉の中に含まれている、むし歯予防の働きをする“フッ素”を口の中に残しておくため」なんだそうです。

なるほど!“フッ素入り”の歯磨き粉であることがポイントなんですね。確かに4学会も、「歯磨き粉」ではなく、「フッ素入り歯磨き粉」と断定して、その推奨される使い方をまとめていますものね。

“フッ素入り”の歯磨き粉の場合は、口から歯磨き粉がしっかりなくなるまで何度もうがいする必要はなく、むしろ、フッ素を口の中に残した方がいいということなんですね。

では、歯磨き粉のコマーシャルなどでもよく耳にする「フッ素」とは何なのでしょう?

むし歯予防に働く「フッ素」とは

フッ素

調べてみると、フッ素(フッ化物)は、歯の表面を覆うエナメル質を酸に溶けにくい性質に変える効果があるとか。むし歯への抵抗力を高め、また、むし歯を引き起こす細菌の働きを弱めるといった働きがあるそうです。

日本では、2010年頃からフッ素入り歯磨き粉の市場占有率が90%に達したそうなので、ほぼほぼ、家庭で使っている歯磨き粉は“フッ素入り”と言えそうです。実際、ドラッグストアでも「高濃度フッ素」「高密着フッ素」などと書いてあるのものを見かけますよね。お家の歯磨き粉がフッ素入りか確認してみてくださいね。

また、むし歯予防に効果のあるというフッ素ですが、大量に飲み込んでしまうと腹痛、嘔吐、下痢といった症状が出る、急性中毒が生じるリスクもあるそうです。急性中毒量は、「体重1kgあたりフッ素(フッ化物)の量2mg」とのことですが…ちょっとピンときませんよね。ただ、歯磨きで、フッ素入りの歯磨き粉を適量使用している限り、中毒を起こすことはないそうです。

では、4学会が推奨するフッ素入り歯磨き粉の使用量やフッ素の濃度を年齢別に見てみましょう。

年齢別「 “フッ素入り” 歯磨き粉」の使用量は?

【歯が生えてから2歳まで】
歯が生えてから2歳までは、フッ素入り歯磨き粉の量(1回あたり)は「米粒くらい(1~2㎜程度)」。フッ素の濃度(フッ化物濃度)は900~1000ppmFのもの。

【3~5歳】
3~5歳は、「グリーンピースくらい(5㎜程度)」。フッ化物濃度は900~1000ppmFのもの。

【6歳~成人・高齢者】
6歳~成人・高齢者は「1.5cm~2㎝程度」。フッ化物濃度は1400~1500ppmFのもの。

以上が、年齢別にみた、フッ素を口の中に行き渡らせる歯磨き粉の最適な量というわけです。ちなみに、1500ppmFは、1g中にフッ素が1.5mg入っているという意味だそうです。

フッ素入り歯磨き粉の使用量や使用方法がわかったところで、実際にやってみようと思います!

「歯」専門の4学会が推奨する“歯磨きの新常識”やってみた!

わたしは「成人」に分類されるので、使用するフッ素入り歯磨き粉は、フッ化物濃度が1400~1500ppmFのものがよいということですよね。

わが家の歯磨き粉をみると、「NaF1450ppmF」と書いてありました。調べてみると「NaF」はフッ化ナトリウムのことで、フッ化物のひとつのようです。

歯磨き粉

これを歯ブラシに2㎝くらい出します。

歯磨き粉

いつも通り歯を磨いた後、ペットボトルのキャップ2杯分(約10ml)の水で口をゆすぎます。

水
ペットボトルキャップ2杯分の水の量(約10ml)

本当にわずかな量ですよね。

コップを斜めに傾けるとこんな感じ。この水の量で口の中はすっきりするのかしら…。

コップ
ペットボトルキャップ2杯分の水の量(約10ml)

口の中の歯磨き粉をペッとはき出してから、このペットボトルキャップ2杯分の水を口に含んで、ブクブクと…。

おお~なるほど!

実際に口にふくんでみると、意外と10mlでも口の中が水で満たされる感じがしたものの、この水の量でうがいをしても、歯磨きで取れた食べかすや汚れがまだ残っているようでスッキリ感はイマイチ。できれば、もう1回、10mlの水で口をゆすぎたい気分です。とはいえ、けっこうズボラで鈍感なわたしには、むし歯予防のためだと思えば、けっこう受け入れられる範囲。

番組に登場した相田教授曰く「慣れてくると、あまり気にならなくなります。無理のない程度で始めて、慣れてきたら水の量をちょっと減らしてみてください」とのことだったので、まずは、15~20mlくらいから始めてみようと思います。水をガバガバと口の中に入れて、5~6回うがいをする、いつものやり方に比べたら、フッ素は多少、口の中に残るんじゃないかな…。

みなさんも、フッ素入り歯磨き粉で歯磨きした後、新常識「歯磨き後のうがいは10mlの水で1回だけ」を試してみてはいかがでしょうか?

<参考文献>
WEB

『4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法』
https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/news/2023/news_230106.pdf

『フッ化物配合歯磨剤に関する日本口腔衛生学会の考え方』
https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/statement/file/statement_20180301.pdf

『クリニカ〜むし歯を防ぐ「フッ素」の働き〜』
https://clinica.lion.co.jp/oralcare/fluorine.htm

『長崎県〜フッ化物の安全性について〜』
https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/hukushi-hoken/kenkodukuri/ha/332521.html

『海老沢歯科医院 院長ブログ〜年齢別・正しい歯磨きの仕方を解説 〜歯磨きペーストをどのくらい付けて磨くか〜』
https://ha6480.com/blog/fluorine/

画像出典:photoAC

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