爽やかな笑顔、艶のある歌声が魅力の演歌歌手、山内惠介さん。3月に新曲『こころ万華鏡』を発表し、コンサートツアーにも精力的に臨んでいます。そんな山内さんですが、新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時期、コンサートが中止になり、歌で自分を表現できなくなって深く悩んだとか。そこで山内さんが選んだ表現の形が「料理」でした。人気演歌歌手の意外な一面に迫ります!【画像を見る】一挙手一投足が爽やか!山内惠介さん――山内さんは、数年前からブログにたくさんの手作り料理を公開されていますね。
コロナ禍でコンサートが軒並み中止になって、本当に気持ちが落ち込んだのですが、何かできることはないかと考えて、料理に挑戦してみようと思ったのがきっかけです。
切って炒めて盛りつけるのも初めてのことだったのですが、作ってブログにアップしてみて、「自分は何かを表現していないと生きてる実感が湧かないんだ」ということに気づきました。
――ラインナップを拝見しましたが、肉じゃがやカレイの煮つけ、かぼちゃの煮物など和食中心のお料理が多いような気がしました。
僕は本当にお米が大好きで、お米を食べるとなるとみそ汁がほしくなる、みそ汁を飲もうと思ったら納豆が食べたくなるという風に、自然の流れで和食が多くなっているのだと思います(笑)。
自炊なら自分の好きな"薄味"にできるコロナ禍前はご飯を炊くのが精一杯だったので、コロナ禍が一段落したら料理をやらなくなるんだろうなって思ってたんですよ。でも、今も自炊を続けています。料理をしているときだけは歌のことを考えずに作業に没頭できるので、いい息抜きになっているんです。
――自炊をすると、身体の調子もよくなりそうですね。
そうですよね。自分の好きな味つけにできるので、そこがとてもいいなと思います。先日、外食したら味が濃くてびっくりしました。
実家に帰ったときも母親の味つけが濃かったので、健康を気づかって「もう少し薄味にしたら?」と言ってしまいました。濃い味が好きな父からは、「余計なことを言うな」と言われましたけど(笑)。
――ちなみに得意料理は何ですか?
肉じゃがですかね。
――お母様から教えてもらったんですか?
いいえ。ある日、自宅ですき焼きを食べたくなったんですけど、鍋を一人でつつくのもな、と思ったときに、「そうだ、すき焼きって肉じゃがと同じだ」って閃いたんです。出汁とみりんと砂糖としょうゆを入れたらできるんじゃないかって(笑)。こうして作った料理なので、自分流です。
――お酒もお好きだそうですが、飲みながら作ったりはしないんですか?
僕は、飲みながらは作らないですね。舌が鈍る感じがするし、適当に作ってしまいそうなのがイヤで。時間をかけて丁寧に作れば作るほど、おいしいものができる気がします。
歌と料理は似ているな、と料理をするようになってから感じるのが、歌と料理は似ているなということ。例えば長ねぎを調理するとき、早く切ろうと思えば切れるけど、ゆっくり丁寧に愛情を込めて切ったほうが見た目もキレイだし、味もおいしく出来上がる気がするんですよね。
――愛情込めて歌えば、歌もそれに応えてくれるということですね。
その通りだと思います。この1、2年で歌は自分の子どもだと感じるようになりました。そう思うと、愛おしさも強くなっていくんです。
そして、どんな風に接したらこの歌が伸びるのか、どんな歌い方をしたらみなさんに伝わるんだろうということを必死に考えるようになります。デビューしてから22年歌ってきて、ようやくわかってきました。歌の方も優しく丁寧に歌ってほしいんじゃないかなって。
僕は結婚していませんし、子どももいませんが、僕にとって歌は子どもであると同時に、“いのち”なんでしょうね。
――今年の3月に、新曲『こころ万華鏡』を発表されました。”自分の信じる道を進め”というメッセージが込められた楽曲ですが、コロナ禍を経て、聴いてくださる方にどんなことを伝えたいですか?
不安な時代を生きる方々の背中を押してあげられる一曲になれば、と思って歌わせていただいています。混乱の中で、自分の生き方が正しいのか正しくないのかわからなくて当然だと思うんです。だからこそ今の自分を肯定して、まっすぐ自分を信じて進んでいってほしい。
僕はこの歌をお客様に届けるとき、“自分はまっすぐ生きられているのか?”と自分自身に問いかけながら歌っています。自分の生き方を見つめ直す機会をもらった大切な一曲になりました。
※山内惠介さんインタビューは、月刊誌『家の光』2023年7月号にも掲載されています。
http://www.ienohikari.net/press/hikari/