2021.12.02

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【レンタル畑体験記】経験ゼロで貸し農園デビュー!した会社員・加藤さん。土に触れ、風を感じる畑仕事の魅力を聞きました!

とれたての野菜や果物が味わえるだけじゃなく、癒しの効果があると大注目の農作業や家庭菜園。やってみたいけどわが家にはそんなスペースないし…とため息をついたそこのあなた! 今は畑も気軽に借りられるってご存じですか?「貸し農園」で新しい楽しみを見つけ、充実した毎日を過ごしている東京都府中市在住の会社員・加藤宣広さんに話を聞きました。

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訪れたのは、府中市にある貸し農園「ふれあいファーム河内」。

住宅地の中に見えてきたのは、防草シートが敷き詰められた道の左右に広がる1区画15㎡に仕切られた農地です。

周囲は雑草もなくきれいに整地され、利用者の個性がうかがえる、思い思いの作物が育っています。



宣広さんの畑はこちら! いろいろな野菜が整然と、そしてたわわに実っているではありませんか。芽を出したばかりのものもちらほら。

いろいろな種類を少しずつ育てていて、まさにプライベート農園ですね。

目の前に農地があったことが、家購入の決め手のひとつに

宣広さんは今年の3月からこの畑を借りています。

「この畑の近くに戸建てを購入したのが4年前。それまでマンション暮らしだったので、家を買うなら窓を開けると、緑が広がっているところがいいなと思ったんです。それに、郊外ならではの良さを実感したくて」(宣広さん)



貸し農園のまわりをぐるりと住宅が囲み、農地がちょうど公園のようになっています。周囲には高い建物もないので空が広くて気持ちよさそう。

とはいえ、引っ越した当初は自分がここで野菜を育てるとは思ってもみなかったと言います。

「最初はいい景色だな、という意識しかありませんでした。しかも、家を購入したとたん単身赴任になってしまって。サラリーマンあるあるです(笑)」

数年の任期が終わり、ようやくわが家に戻ってきた宣広さん。何か始めよう! と張りきっていたところに起こったのが、コロナ禍によるステイホームでした。

犬が教えてくれた!?貸し農園

単身赴任中は週末だけ自宅に帰る生活だったのが、戻ってきたとたんに家で過ごす時間が何倍にも増えてしまった宣広さん。そこで、もともと家族の希望でもあった犬を飼い始めました。


チワワとシーズーのミックス、凛くん。

「愛犬を囲むことで家族の会話は格段に増えました。コロナ禍に犬を飼うなんてベタですけど、前々からの夢が実現して本当によかったです」(宣広さん)

在宅勤務日と休日は、宣広さんが散歩の担当。すると、単身赴任前は個人の畑だった農地が、誰でも借りることができる貸し農園、「ふれあいファーム」になっていたことに気がついたのです!



JAマインズが運営するふれあいファームでは、1世帯1区画まで、月額2600円から約15㎡の畑を借りることができます。

当時、ふれあいファームに空きはなし。畑が身近になったことで農作業に興味を抱いた宣広さんの娘さんがそれならば、と自宅の庭に野菜を植えてみたそうですが、うまく育たず断念。加藤家の貸し農園に対する気持ちは高まっていきました。

貸し農園だから、手軽にできる

そんな折、宣広さんは犬の散歩途中に、ふれあいファームの利用者募集の張り紙があるのを見つけました。

すぐに窓口であるJAに問い合わせ、無事1区画を借りられることに。なんてグッドタイミング!



「1年を通してふれあいファームの様子を興味深く見ていたので、野菜を栽培すること自体がいつのまにか身近になっていました。できるかなという不安よりも、やってみたい気持ちの方が大きくて、借りるとが決まったときはわくわくしました」と宣広さん。

さっそく家庭菜園の本を1冊買い求めて熟読し、通勤時間にはユーチューブで育て方を学びました。



「ネットなら移動時間を有効活用できる。今は便利ですよね。いつもの通勤時間も、あれを育てよう、帰ったらこうしようなど、畑の事を考える楽しい時間になりました」(宣広さん)

ふれあいファームには水道が引いてあり、支柱やスコップなども自由に借りることができます。種や肥料などは、近所のホームセンターでそろえました。きちんと管理が行き届き、設備が充実していることも、貸し農園の大きなメリットです。



畑を通して生まれたうれしい変化がすごい!
  
初めて植えたのは、大根、小松菜、枝豆、とうもろこし。結果は…上々! どれもなかなかの出来栄えだったそうです。

「とくにとれたてのとうもろこしのおいしさは忘れられないです。とうもろこしがあんなに甘いとは思いませんでした。家族全員で『借りてよかったね!』と言い合ったくらい」と宣広さん。



次に育ててみたのは、ミニトマト、ゴーヤ、なす、ピーマンなどの夏野菜。夏野菜は強いものが多いせいか、どれも数本植えただけなのに、びっくりするほどたくさん収穫できました。

中でもゴーヤは、加藤家で初登場の野菜! 宣広さんは外で食べたことがあるそうですが、妻の一美さんによれば「わが家では買ったことも食べたこともなかった」とか。


ゴーヤとなすは一度に50個ほどとれたので食べきれず、宣広さんは会社の同僚に、一美さんはご近所に配りました。

一美さんは、たくさんのゴーヤを消費すべく、新たな料理にいろいろ挑戦し、いくつかのゴーヤ料理が加藤家定番に。こうした楽しい出来事も、貸し農園ならではですね。

「自分では買わなかった野菜も、いろいろと食べるようになったのが一番大きな違いかな」と一美さん。貸し農園を利用するようになってから、加藤家の野菜消費量と食べる野菜のバリエーションは格段に増えたそうです。



「夫が畑から戻ってくると、今日の収穫分! と言って野菜を持ってくるんです。これまでは、メインのおかずを決めてサブに小鉢を何か…と考えていましたが、今ではその日の野菜を主役にいろいろ作るようになったので、あとは肉か魚をさっと焼くだけという献立も増えました。食生活のバランスが良くなったと思います」(一美さん)

もともとは大の肉好き、自称お子様舌だったという宣広さんも、今ではいろいろな種類の野菜を食べるようになりました。



四季を実感できる食生活に大満足の宣広さんは「とれたての、しかも自分で育てた野菜はおいしいです。自分でもびっくりするくらい野菜好きになってしまいました。舌も敏感になったかも」とうれしそう。

お料理好きの一美さんだけでなく、宣広さん自らが腕をふるう機会も増えました。どっさりとれた野菜はカレーにすることが多く、家族からも大好評だそう。

「とれすぎたトマトはまとめてミキサーにかけてトマトピューレにするんです。これをカレーに入れたら、おいしくてね。こんなワザも、自分で育てた野菜があればこそです。自分で野菜を作るのはもちろん、その野菜を自分で料理するようになるだなんて、本当にびっくりですよ」(宣広さん)



育てた野菜を調理して、家族みんなで感想を言いながら食べる。そのまわりを愛犬がご機嫌に遊んでいる。加藤家にとって、コロナ禍以前には考えられなかった光景です。

「コロナ禍の1年半は、それまで家族と過ごしたときよりコミュニケーションの質も量も劇的に増えたなという自覚があります。畑をやって、犬と暮らして。今、とても充実しています」と宣広さん。



なんとなく過ごしてしまいがちな「おうち時間」。土と触れ合う新たな楽しみを見つければ、充実の時間を過ごすこともできます。

貸し農園は地域のJAや自治体などが運営しています。気になる方はぜひ調べてみてくださいね。

宣広さんが利用している貸し農園「ふれあいファーム」の情報はこちら

JAマインズ

貸出農園ふれあいファーム

東京都府中市でJAマインズが管理する貸し農園のひとつ。「農作業を通じて土に親しみ、生産の喜びをあじわうことにより、健康的でゆとりある生活を送ることができるよう支援するとともに、良好な都市環境の形成と農地保全を図ること」を目的に、JAマインズではこのほかにも8つのエリアで貸し農園を維持・管理している。1区画の面積は15~18㎡。JAの事業を利用していれば誰でも申し込むことができる。

詳しい内容・利用方法についてはこちらをチェック。

写真/冨田了平 取材協力/JAマインズ

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