農業が盛んな千葉県富里市で、にんじんやスイカを栽培する農家の篠原政弘さんは、スイカづくしの“スイカ神社”こと「富里鎮守 香取神社」の神主を務めています。農業も神職も妻の実家を継ぐカタチで、経験ゼロから始めたという篠原さん。世にも珍しい二足のわらじ生活は、さて、どんな感じ?ユニークな兼業農家の毎日を紹介します。【画像を見る】ユーチューバーが訪れるというスイカ神社、超気になる~!訪れた富里市は千葉県内有数の農業地域で、にんじんとスイカの大産地!
そんな富里市を訪れると、秋晴れのもと、立派なにんじんを収穫している方を発見!ちょっと聞いてみましょう。
この辺りで農家をしながら神主もしている方がいると聞いてきたのですが、ご存じですか。
「はい、わたしがにんじんとスイカ農家で香取神社の禰宜(ねぎ)の篠原政弘です」
ええっ、まさにご本人でした!
農業と神職、すべては結婚がきっかけ!
それにしても、どういった経緯で農業と神職の兼業をするに至ったのでしょうか。
「妻との結婚がきっかけです。それまでは内装業を営んでいて。結婚し、婿入りするにあたって、今まで全く縁のなかった農業と神職を継ぐべく、一から勉強しました」(篠原さん)
着替えていただくとガラッと印象が変わります!不安はなかったですか?とお伺いすると「若さと勢いですね」と明るく笑う篠原さん。いや、人はそれを「愛」と呼ぶのです…!
22歳で結婚し、夜は神職の資格を取るために大学に通い、昼間は台東区にある浅草神社に住み込みで実習に明け暮れる毎日が続きました。
新婚でいきなりの単身赴任でさぞ大変だったかと思うのですが、「いや、周りの方に本当に助けてもらったので」と穏やかな笑顔の篠原さん。「こんな世界があったのかと、何から何まで新鮮でしたね」と語ります。
数年後に富里市に戻り、今度は義父(香取神社宮司)から農業を教えてもらう日々。ついに本格的な二足のわらじ生活がスタートしたのです。
「農業を始めて、まだ10年くらいです」と語る篠原さんですが、なんと現在はJA富里市で400名の部員を率いる人参部の副部長。新しい品種を試験的に栽培し、土地に合ったにんじんを探求するなど、産地の旗振り役として活躍しています。
篠原さんが栽培するにんじんの品種「アイコ(右)」と、試験品種でまだ名前がついていない品種(左)できる方ってなんでもできるんですね…篠原さん、すごすぎます。
農業と神職、二足のわらじを活かした日々ところで、農業と神職の兼業って、どう時間をやりくりしているのでしょうか。
「朝はまず神社の清掃をします。それから日中は畑に出ますね。夜は御朱印の準備をするなど作業をすることが多いです。夏は草取りが大変な時期ですが、妻と一緒に頑張ります。お祭りがあると畑に出られないこともあるのですが、その分夜まで箱詰めしていたり。正直ちゃんとした休日はないですね(笑)」(篠原さん)
そう話す篠原さんは終始穏やかな笑顔で、いきいきと充実した毎日であろうことが伺えます。
そして、香取神社のみならず、近隣の20社以上の神社の管理を兼務されているとのこと!いくつ体があっても足りないような気がしますが、篠原家のチームワークで乗り切っているそうです。
「農業と神職は深く通じるものがあります。豊作を祈り、収穫を祝うのもが社のお祭りですから。田植えの時期は御田植(おたうえ)祭をし、稲刈りの時期には抜穂(ぬいぼ)祭をして、収穫したお米を神様にお供えします」(篠原さん)
農業と神職は決して意外な組み合わせではなく、深く結びついていたのですね。
篠原さんは農家と神職という2つの立場を活かして様々な取り組みを行っています。そのひとつが“スイカ神社”こと、篠原さんが神主を務める香取神社でのこと。
香取神社ではスイカ柄の提灯やスイカ柄の御朱印帳、御守など、ありとあらゆるものがスイカモチーフ。話題を呼び観光スポットとして人気を博しているんです。
実はこの“スイカ神社”人気の仕掛人も篠原さん。
「農家として富里で育つ豊かな農産物を広めたいという想いがあって、産地ならではスイカ御守をひらめいたのがきっかけです。他にも、お世話になった浅草神社に声をかけて、東京の子どもたちを対象にした農業体験を企画したり。どの活動も農家と神主という2足のわらじを履いていなければ実現していませんでした」(篠原さん)
地域の農業を、農家として、そして神職という立場からも盛り上げていく、篠原さん。今後の活躍が楽しみです!
篠原政弘さん
にんじん・スイカ農家/富里鎮守香取神社 禰宜
22歳で結婚後、妻の実家を継ぐため農業と神職の勉強を開始。農業では主に秋冬にんじん、スイカ、米、サツマイモを栽培。現在、JA富里市人参部の副部長を務める。香取神社ではスイカやにんじんなど富里の名産品をモチーフにした御守や御朱印が人気。
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