2021.09.07

働く

【コロナ禍で収入減…】そんな今【副業で農業!】への注目度アップ! 未経験から農業パートを始めた女性に密着

新型コロナウイルスの影響で、密を避けて屋外で自然を感じながら働くことのできる農業に注目が集まっています。なかでも、勤務先の休業やシフトの減少、リモートワークの定着などによる働き方の変化で〝副業〟として農業を始める人が急増中!そこで実際に、副業として農業パートを始めた小林ミチルさんにお話を伺ってきました!



本業の月収が3万円に…。生活のため農業を副業に

群馬県前橋市の豊かな自然の中にある「石井農園」。晴天に恵まれたこの日、午前9時ごろ農園を訪れると、朝一番のトマトと青ナスの収穫を終えた従業員のみなさんが作業場で出迎えてくれました。



「こんにちは!小林です!」と、明るくハツラツとした笑顔で登場したのが、この農園でパート従業員として働く小林ミチルさん。

まだ少し収穫するものが残っているというので、さっそく畑でお話を聞くことに。



「ここは青ナスの畑です。夏はとにかく日差しと地面の照り返しで暑いので、気温が上がり切る前に収穫をしないと」と、小林さんは手慣れた様子でカゴを乗せた台車を押しながら、畑を案内してくれました。



すっかりベテランの動きに、「これまでも農業はやったことがあるんですか?」と伺うと、笑顔で「いやいや、まったくの未経験でしたよ」と、農業を始めたきっかけの話に。

「昨年からの新型コロナウイルスの流行で、勤めていたホテルの宿泊客が激減してしまって…。ほとんど出勤しない月もあり、実際に働いた分の給料は月に3万円くらい。休業手当ても出ましたが、それを合わせても収入は月に5万円程度しかなくて。これじゃ生活ができない!と思って、仕事を探し始めたんです」



そこで見つけたのが、農業や林業の求人サイト「第一次産業ネット」に掲載されていた石井農園でのパート従業員の募集だったそう。

「ホテルを辞めて、現在の本業は中古車販売店での事務。平日の午後2時から7時までの仕事なので、午前中だけ働けて、家から近いところが希望でした。あとは、事務だけだと座ってばかりになるので、体を動かす仕事がしたいと思って農業を選んだんです」


午後は、中古車販売店での仕事に精を出す 写真提供/小林ミチルさん

農業はプロの仕事⁉︎ 未経験でもダメ元で挑戦



「まさか自分に農業ができると思っていなかった」と話す小林さん。初めは“辛そう、大変そう”というイメージしかなかったといいます。

「農業は、作物がそのまま売りものになるから、プロの仕事って感じがしてハードルは高かったですね。なので最初は簡単な作業だけやるものだと思っていました。でも石井農園では、わからないことは先輩たちが丁寧に教えてくれるし、私みたいな素人でもいろいろな仕事を気軽に任せてくれるんです。昨年の6月から農業を始めて、ちょうど1年。一連の作業を経験してみて、今は不安もないし、楽しい!」(小林さん)



この日も農園主の石井真帆美さんとしっかりコミュニケーションを交わしながら、作業を黙々と続けていきます。

就農して1年。50歳でも体が元気に!



「農業のハードルの高さだけでなく、ちょうど昨年50歳になったので、自分の年齢にも不安があったんです。夏は暑い中の作業になるし、体調を壊してしまわないかなって。初めは突っ走りすぎてダウンしたこともありました。でも1年続けてみると、不思議と今の方が元気なんですよ」と、小林さんは汗をかきながらも元気いっぱいの様子。



「前は、事務作業で座ってばかりでむくんでいた脚がむくまなくなったし、汗をかきにくかったのに今は髪が濡れるほど汗をかくし。もちろん、前屈みの仕事なので1日の終わりにはお風呂で背中を伸ばしますが、疲れが翌日に残りにくい体になりました」(小林さん)

農業は女性の副業におすすめ!

「農業パートのいいところは、わざわざフィットネスに行かなくても体が元気になること。あとは、自分の都合に合わせて好きな時間だけ働くことができます。石井農園では、子育て中のママもいるんですよ。女性がたくさん活躍しているので、自分の状況や気持ちをわかってくれることも多いですね」(小林さん)



農園主の石井さんも「苗植えや収穫などの繁忙期は、どこの農園も人手が足りていません。だから、空いた時間にちょっとだけとか、土日だけとかでもいい。パートの方がいてくれるだけで、私たちはとても助かります」と。

農作業は重いものを持ったり前屈みの作業があったりと重労働ではありますが、収穫した野菜の選別や袋詰めなど、細かく繊細な作業は女性向きなんだそうです。



「農業を始める前と今とで大きく違うのは、これまで消費者でしかなかったのに、野菜に愛着を持ち野菜を大事にしようという生産者の気持ちが芽生えたことですね。とくに都会の女性は、自分が食べているものに気を使っている人が多いはず。農業をすることで野菜がどう作られているか知ることができるので、おすすめですよ!」(小林さん)

石井農園のみなさんはとても仲がよく、和気あいあいと作業する姿がとても印象的でした!
自然や土に触れ、仲間もできる農業をぜひ一度体験してみては?

石井農園 パート従業員

小林ミチルさん

新型コロナウイルスの影響で、勤めていたホテルの宿泊客が激減。収入が6割も減ってしまったことをきっかけにホテルの仕事を辞める。現在は、中古車販売店でパート従業員として働きながら、2020年6月から副業として「石井農園」でもパートを始める。主に任されているのはトマトや青ナスの苗植えや収穫、出荷準備など。なかでも好きな作業はトマトの選別。石井農園の公式LINEアカウントはこちら

写真/菊地菫 取材協力/JA前橋市

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