2022.02.22

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【現役ナースが解説】コロナ自宅療養で気をつけることとは⁉救急車を呼ぶべき症状の見分け方

全国の新型コロナウイルスの新規感染者は10万人を超えました(令和4年2月3日現在)。東京都では検査で陽性となって療養中の方がおよそ100人に1人(!)にのぼると発表されたほか、50歳未満の軽症・無症状者は自宅療養が基本となり、都は新たにサポートセンターを開設しました。今回は、自宅療養で注意すべき点、救急車を呼ぶべき症状の見分け方、そしてサポートセンターの支援内容を解説していきます。

【画像を見る】コロナの自宅療養で気を付けることは?

うちさぽ東京の支援内容は?コロナで自宅療養になったらどう気を付ける?

1.東京都が新たに開設『うちさぽ東京』とは
2.自宅療養中の体調のセルフチェックについて
3.コロナ感染症での自宅療養の注意点
4.自宅療養中のこころのケアについて


1. 東京都が新たに開設『うちさぽ東京』とは

都は令和4年1月31日から自宅療養者のための自宅療養サポートセンター『うちさぽ東京』を開設しました。
24時間対応(!)で自宅療養者の体調や困りごとに対する相談や食料品の配布、パルスオキシメーターの貸し出しを行います。

自宅療養者は自身で毎日の健康観察を行い、体調の変化に気づいた時にうちさぽ東京に連絡すると、医療相談をすることができます。
必要に応じて医療機関の遠隔診療や往診を受け、入院治療や宿泊施設への入所につなげることができます。

食料品やパルスオキシメーターの配送依頼は電話とWeb申し込みの両方で受け付けており、食料品は1人につき3箱分配送されます。


出典:東京都福祉保健局HP

電話が込み合うこともあるそうなので、Web申し込みできるのは良いですね。

療養中の相談や困りごとの相談にも対応してくれ、開設から正午までの3時間で食料配達依頼が1,400件、パルスオキシメーターの配送依頼が1,200件あったといいます。

詳しい内容は、自宅療養サポートセンター(うちさぽ東京)のご案内をご確認ください。

2. 自宅療養中の体調のセルフチェックについて

軽症者・無症状者でも実際に自宅療養で過ごす日々は心細く不安なものだと思います。

軽症といっても、決して症状が軽いというわけではありません。

人によって症状の程度はそれぞれですが、オミクロン株に感染した方からは「高熱が出て激しい咳、喉の痛みがつらかった」、「ただの風邪とは違い、インフルエンザのときよりしんどかった」という声も聞かれます。

自宅療養中は、1日2回はご自身やご家族で健康観察を行うことが大切です。

状態の悪化がある場合はいち早く、保健所やうちさぽ東京などのフォローアップ機関、かかりつけ医に連絡してください。

以下は東京都がまとめた救急車の要請やかかりつけ医等に連絡する目安です。
セルフチェックの観察項目と状態にあわせた適切な対応について表記されています。




出典:東京都福祉保健局HP

赤い枠の項目に一つでも当てはまれば救急車を要請してください。
また点線の枠に当てはまっていれば、速やかにかかりつけ医などに連絡をしましょう。

1月31日放送の『FNN Live News α』で内科専門医の山田悠史医師は「主な観察項目の症状としては、喉の痛み・鼻水・咳・発熱などがあります。こういった症状は1日のなかでも波があるかもしれませんが、全体として日ごとに良くなっているか、悪くなっているのかそういった点に注意してしっかり観察してください。なかでも息苦しさ、胸の痛み、体がつらくて起き上がれないといった症状が出てきた場合には、肺炎のサインかもしれないため注意が必要です。そのような際には医療機関にすぐに連絡をしてください」
とコメントしています。

時間の経過とともに状態が悪くなってないかどうかの観察は重要です。

健康チェックをする際に、血中酸素飽和度を数値で確認できるのがパルスオキシメーターです。


出典:PHOTO AC

上の画像で左側の数値が酸素飽和度、右側の表示が心拍数を表しています。

健康な人なら酸素飽和度は97~100%で維持されていますが、コロナ感染症では酸素飽和度が低下することがあります。

同番組で山田医師は「酸素の値(SPO2値)として94%以上であるかどうかが目安となり、93%以下を持続的に見てしまう場合には医療機関への連絡が必要」と述べています。

上の表でも、SPO2値90%以下であれば救急車の要請、95以下であれば保健所やフォローアップ機関に連絡すると明記されています。
SPO2値90%以下は呼吸不全がかなり進行している状態と考えられるので、緊急の対応が必要です。
90%以下まで低下する前に連絡して対処していくことが望ましいです。

3. コロナ感染症での自宅療養の注意点

コロナ感染症では高熱が出ることが多いため脱水になりやすいです。

こまめに水分補給をし、消化に良い物を食べて栄養を摂るようにしましょう。
水分補給ができるスポーツ飲料、経口補水液、ゼリー飲料や、調理不要で食べられるレトルト食品、インスタント食品、冷凍食品などを備えておくと良いですね。

山田医師によると、熱や喉の痛みには解熱鎮痛剤の「アセトアミノフェン」が有効です。

アセトアミノフェンは商品名「カロナール」や「タイレノール」として、医師の処方なしでも薬局で購入できます。

アセトアミノフェンが主成分となっているその他の薬剤もあるため、購入するときにはパッケージの成分表示を確認するか、薬剤師に確認してください。

外出はコロナ感染が疑われてからは極力避けるべきなので、食料品・日用品・薬などは事前に用意しておきましょう。

自宅療養中は脱水や長時間の同じ姿勢で動かなくなることが原因で血の塊である「血栓」ができやすくなります。

血栓予防のためにもこまめな水分補給は大切です。
また安静にしている状態でも足先を動かして予防することができます。

自宅療養中のセルフチェックや血栓予防の方法については、以前の記事にもまとめていますので参考にしてください。
↓ ↓ ↓
【現役ナースが解説】コロナで自宅療養になったら…重症化を防ぐ「13の症状」とセルフチェックの注意点

4. 自宅療養中のこころのケアについて

コロナで制限が多いなか、わたしたちはストレスを抱え続けています。
自宅療養中や待機中は外出の制限や人との接触がなくなること、小さなお子様がいる家庭では育児負担が増えることで心への負担はさらに大きくなります。

家族のなかで陽性者が出て他の家族が陰性の場合、家庭内感染予防のため生活空間を分ける必要がありますね。
そのような場合でも『大変な局面を一緒に乗り越えく』という気持ちで、電話やビデオ通話、LINEなどを利用して他愛もない会話でよいのでコミュニケーションをとっていくようにしましょう。

おうちのなかでも気分転換ができる方法を一つでも多く見つけてリストアップしておくと役に立ちます。
不安や悲観的な気持ちになったときに“これをすれば少し落ち着く”というストレスの対処にもなります。



自身や家族の気分の落ち込みや不眠などのこころのサインに気づいていくことも大切です。
気持ちを抱え込まず話せる誰かに相談しましょう。
話すだけでも心が軽くなりますし、誰かに話すのが難しい場合は紙に自分の悩みや気持ちを書き出すだけでもストレスケアになります。

下記のURLは厚生労働省の心の悩みにおける相談窓口一覧です。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000643326.pdf

各県の精神保健福祉センターの連絡先や『よりそいホットライン』という24時間無料で様々な悩みの相談に乗ってくれる窓口が紹介されています。

ストレスケアの手段の一つとして『マインドフルネス』があります。
マインドフルネスはネガティブな思考に傾いているときや不安なときに、こころを落ち着けてくれます。
マインドフルネスについての以前の記事も参考にしてみてください。

自宅療養は不安が大きく、想像を超える大変な日々だと思います。
必ず乗り越えられるものだと考えていろいろな手段を活用し、身体とこころを守っていきましょう。

自宅療養サポートセンター(うちさぽ東京)

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