2022.11.20

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【淡路島発】黒丸大根にビーツ、合鴨卵などレア農産物揃い♪無人販売所「小屋まる」行ってみた!え、遠隔接客も!?

みなさんの近所に農産物の無人販売所ってありますか?簡易的な小屋に旬の野菜が並べられ、お金を入れる箱が置いてある…のが一般的ですよね。そんななか、兵庫県淡路島にユニークな無人販売所があるとの噂が。売られているのは特産の玉ねぎはもちろん、レモングラス、カラフルなにんじんやカリフラワー、おかのりなどレア農産物がズラリ!無人だけど接客もある(!?)とのことで、さっそく訪ねてみました!

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訪れたのは兵庫県南あわじ市。田畑が広がる道を歩いていると、手作り感あふれる小屋が見えてきました。

近づいてみると…お、これがウワサの無人販売所、その名も小屋まるです!



どれどれ、どんな野菜があるのかな。



わー!無人販売とは思えない多種多様な品揃え。玉ねぎはもちろん白菜、キャベツに赤いダイコン、とんがり大根、紫色のカリフラワー、トマトに岡山サラダ菜…どれも鮮度バツグンです。人気のカラフル野菜はもちろん、


白にんじんや紫にんじん、ロマネスコに色とりどりのカリフラワーも!

なんと、合鴨の有精卵まで扱っています!



壁には小屋まるに出荷している農園の紹介がイラスト付きでずらり。



なんて賑やかで充実した無人販売所なのでしょう。見渡していると、「いらっしゃいませ!今日のおすすめは玉ねぎと大根です!」とどこからか声が。

あたりを見渡しても誰もいないし、きょろきょろしていると「ここにスピーカーがあるでしょう?防犯カメラに付属していて、店の在庫を見ながら遠隔で接客できるんです」と登場したのが、小屋まるの発起人、地元の玉ねぎ農家の木田朱美さん!



「ここでは、規格外だったり、少量すぎて出荷できない野菜を販売しています。無人販売だけど、遠隔で接客しているからコミュニケーションも問題ナシ。近隣のおじいちゃん、おばあちゃんをはじめとする農家の丹精した野菜が並ぶ姿は圧巻ですよ!」(木田さん)


レモングラスに黒丸大根。初めて見るものばかりで心が躍ります!

個性あふれる小屋まるは地元にファン多数。テレビでも取材されるなど、今注目の無人販売所なんです。

「ちなみに、出展者の方の紹介イラストわたしが描いたもの。珍しい合鴨の卵は合鴨農法に取り組んでいる農園発のレアものですよ~!」(木田さん)

小屋まるのきっかけは…母の姿!

コロナ禍に実家の農家を継ぐかたちで就農した木田さんは、当初から「無人販売所を作りたいっていうのを周りに言いふらしていた(笑)」のだそう。


小屋まるにはもちろん木田さんが育てた玉ねぎも!

「母は市場に出荷しない夏野菜も作って、どんなに忙しくても水やりしていました。でもね、食べ切れなくて結局枯れてしまうんですよ。なんで植えるの?って聞くと『これが農家や』って言うんです。季節が来たら多少食べきれなくても、種を撒いて育てるんだって。でもせっかく育てるなら、誰かに味わってほしい。そう思って小屋まるを立ち上げました!」(木田さん)

消費者目線で充実した品揃えに!

こんなに品揃えがいい無人販売所はなかなかないように思いますが、その秘訣は?



「野菜の栽培時期に応じた出品計画を立てて、それを作っている農家に出品を呼びかけました。たとえば、近所を見渡して、あそこにきゅうり作ってる人がいる!と見つけたら、出品してもらえないかお願いに行くんです。わたしがラッピングするから、とにかく出してくれませんかと」(木田さん)

さらに、きのこを出品したら絶対にお客さんが増えるからと、しいたけの栽培工場に直談判したことも。



「自家消費用など少量生産の野菜は、作っている人のところにダメもとでお願いに。だからこれだけ充実してるんだと思います」(木田さん)

売れ行き好調で、時間帯によっては売り切れることも。そういう時は、出品者のLINEグループで「品薄です、何か出してください」と呼びかけるそう。


出品者から要望を受けて設置した防犯カメラは在庫管理や接客に大活躍!

「防犯兼接客用カメラで販売所の在庫は常にチェック。無くなると出店者に呼び掛けて、野菜を持ってきてもらいます。あそこに行ったら何かある、と思ってくれているお客さんも多いみたいでありがたいです」(木田さん)

市場に出回らないはずだった野菜が商品になることで、農家も消費者も笑顔になっていく。すてきな循環が生まれています。


雨風よけも設置されますます充実する小屋まるです!

いつ来ても楽しい無人販売所を目指して

素朴な温もりがあって、地域に愛されている小屋まる。明るい気分で訪れてほしいと、冬にはイルミネーションも!



「みんなでアイデアを出しあいながら、いつ来ても魅力的な農産物に出会える無人販売所を目指しています」(木田さん)

中までキラキラ、これは寄るのが楽しみになっちゃいます。そのほか時期に応じて野菜の苗や手作り雑貨なども販売しているそう。



「どう育っても誰かに食べてもらえると思えるだけで、農家は喜んで野菜を作れます。イキイキした農家の姿を子どもたちに見せたい、農業が元気な未来が小屋まるからはじまるといいな…なんて思っています!」(木田さん)

アイデアあふれる無人販売所「小屋まる」、お近くにお越しの際はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

無人販売所 小屋まる
住所:兵庫県南あわじ市賀集福井392の1
営業時間:7時30分ごろ~20時ごろまで

きちまる農園

木田朱美さん

兵庫県淡路島の農家に生まれる。小学2年生から淡路島の伝統芸能・人形浄瑠璃に関わり、高校を卒業後、淡路人形座に就職。人間国宝・(故)鶴澤友路に師事し、30年間三味線奏者として勤務する。2020年3月、新型コロナウイルスの影響による人形座の臨時休館に伴い、実家の玉ねぎ農家を手伝い始めたが、農家に転向することを決意し、同年7月に人形座を退職。玉ねぎを中心とした野菜の栽培の他、地域活性化のため地元の農家仲間と無人販売所「小屋まる」を立ち上げボランティアとして運営する傍ら、農協(JAあわじ島)理事としても活躍。また、三味線奏者・指導者として継続的に活動し、国の重要無形文化財保持者に認定された。“芸農人”として淡路島の農業・文化を盛り上げている。

取材協力/JAあわじ島

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