2022.01.09

食べる

【原木しいたけ農家に聞く!】完熟「しいたけ」の選び方!えっ、表と裏の「〇〇」をチェックするの?

肉厚で香りも歯ごたえもいい「しいたけ」がおいしい季節です。でも、意外と知らないのが「おいしくて旨味たっぷりの、しいたけの見分け方」。そこで、原木しいたけ栽培歴36年の〝しいたけ名人〟こと、東京都青梅市のしいたけ農家内沼さんに、おいしいしいたけの選び方のコツを教えてもらいましょう。

【画像を見る】農家直伝!完熟「しいたけ」の選び方



教えてくれたのは、東京都青梅市にある「内沼きのこ園」の内沼秀夫さんです。

おいしい「しいたけ」の見分け方

1.傘:「開ききったもの」が、完熟の証!
2.傘の表:「ふちに白い毛」が付いていれば、新鮮!
3.傘の裏:「ひだが真っ白なもの」を選べ!

では、詳しく見ていきましょう。

旨味が強いのは「完熟状態」になったしいたけ

のどかな里山の風景が広がる「内沼きのこ園」では、ナラの木の原木に菌を植え込んでしいたけを発生させる希少な栽培法である「原木栽培」を始めて36年。とれたてのきのこを味わいに、年間1万人が訪れ、きのこ狩りを楽しむ大人気きのこ園です。

「いちばんおいしいのは、完熟したしいたけなんですよ」と、笑顔できのこを見せてくれたのは、内沼さん。



えっ、しいたけに「完熟」ってあるんですか?



「そう、これが完熟しいたけです!」

真っ赤なトマトや、木になった状態で熟した果物が一番おいしいのと同じように、しいたけも完熟したものが美味だそう。



「原木の栄養分をしっかり吸ったしいたけは、次の子孫を増やすために胞子(植物でいう種のようなもの)を出して、その役目を終えます。この胞子を出すタイミングが、養分がもっとも充実した、おいしい完熟の状態なんです。しいたけの傘がしっかり開ききっているのが特徴です」(内沼さん)。



この日、原木からもぎとった完熟しいたけは、こちら。
ふだん見るしいたけとは違い、傘が開いています。美しいですね。



新鮮なしいたけは、表と裏をチェック!

おいしい完熟しいたけの特徴は、「傘が開ききった状態」が目印。
写真の左側が、開ききった状態。右側は、傘がまだ丸く縮まった状態です。



そして、表側を見るときには、「傘のふち」にも注目!



傘のふちに、「ふさふさした白い毛」があれば、鮮度のいい証。
これは「鱗皮(りんぴ)」といい、手で触れたり時間が経ったりすると、とれてしまうそう。

さあ、次はひっくり返して裏側もチェック。



ひだの部分が真っ白なものが、新鮮だそう。

「きのこの旨味成分は、グアニル酸という3大旨味成分(他は、かつお節に代表されるイノシン酸、昆布に代表されるグルタミン酸)の一つです。グアニル酸は、きのこの傘の内側の、胞子が作られるところにたまる。だから、傘が開いて胞子が出始めたときが、旨味のピークなんです」(内沼さん)。



ちなみに、この旨味成分は日数が経つと酸化し、赤く変わってくるんだそう。
確かに、買ってから冷蔵庫に入れっぱなしにすると、ひだが変色してしまう……反省。

ひだの部分が赤くなる前の、真っ白の状態のときにしいたけを食べるのが、おいしさを最大限に味わうコツなのですね。

また、しいたけの大きさは、大きい方がより「旨味が強い」傾向に。



「原木の中でも、しいたけを発生させる菌がたくさん集まっている部分は菌の勢いが強いので大きく育ちます。大きいもののほうが旨味が強いようですが、基本的には同じ原木から出てきたもの同士。どれもおいしいですよ」(内沼さん)。

驚き!トントン、叩くだけで出てくるしいたけ

きのこ狩りを楽しみに連日多くの人が訪れる「内沼きのこ園」ですが、今回は特別に、園内を案内してもらいました!

風通しのよい林には、菌を植え込んだ原木からしいたけの発生を待つばかりの状態になった「ほだ木」がきれいに組み上げられ、覆いがされています。



「大雨が上がった後には、しいたけはほだ木から出たくて仕方ない状態になるんです。ほだ木をトンカチで叩いたり動かしたり、ちょっとした物理的刺激で出てきちゃう。
だからこのエリアには、きのこ狩りのお客さんも入ってもらわないようにしているんですよ」(内沼さん)。



ビニールがかけられたほだ木は、まるで布団をかぶせられて眠っているようです。



しいたけが出てくる状態になると、ほだ木はハウスに移されます。「ハウスの中のものは、しいたけがたくさん生えてますよ!」と案内してもらい、ハウス内へ。



わー、しいたけの赤ちゃんが、ポコポコ。かわいい!



さらに、もう少し成長したものも。



そして、先ほどの完熟しいたけ!!



こうして、生産者が手間ひまをかけて、おいしいしいたけが育てられているのですね。

しいたけを自分の目でチェックするのが、楽しみになってきそうです。


内沼きのこ園

内沼秀夫さん

希少な栽培方法である原木栽培を始めて36年。ナラの木の原木を使って自然の力を利用しながらしいたけ、舞茸、ヒラタケなど様々な種類のきのこを栽培する。秀夫さん、妻の幸恵さん、娘の幸紀さんと3人の家族経営。園内ではしいたけ狩り体験(予約制)や、収穫したきのこをすぐに焼いて食べられる炭火焼きコーナー、きのこをたっぷり使った料理を楽しめるカフェ「ぴるつ」もある。
営業時間10:00~17:00(カフェは、11:30~15:00) 火曜定休(6~8月は水曜も定休)
※季節によって、営業時間が異なることがありますので、ご注意ください。
http://u-kinoko.jp/index.html

写真/松木雄一 取材協力/JA西東京

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