2022.02.26

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栄養を逃さない「ほうれん草」の茹で方とは?良品の見分け方、保存法、レシピも紹介!【管理栄養士発】

管理栄養士のmotokiです。冬になるとおいしくなる「ほうれん草」。スーパーで買う時、みなさんはどんな基準で選んでいますか? ここでは、いまさら人に聞けないほうれん草の「見分け方」から「保存の仕方」、そして「栄養」について詳しくお伝えしようと思います。さらには、料理する時に栄養を逃がさない加熱の方法や、すぐ使える簡単レシピも紹介。この記事1つでほうれん草のことがバッチリわかりますよ!

【画像を見る】管理栄養士が解説!栄養を逃がさないほうれん草の茹で方って?


ほうれん草の由来とは


出典:PHOTO AC

ほうれん草の名前の由来は、中国の唐代に存在した「頗稜(ホリン)国」(現在のネパール)という名称から、といわれています。その後、「菠薐(ホリン)」となり、「ポーリン」や「ホリン」のような発音だったのが、日本語では訛って変化し「ホウレン」となったようです。シルクロードを通って中国に入り、江戸時代の初期頃に日本に伝わったといわれています。あの「独眼竜」の異名を持つ伊達政宗も食べていたとか。

「菠薐」(ほうれん)は中国語でほうれん草の原産地「ペルシア」のことであり、「ほうれん草」は「ペルシアの草」という意味になります。ちなみに、「法蓮草」は当て字と言われており、漢字に由来はないとのことでした。

ほうれん草のエネルギーと主な栄養素

日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、可食部100g当たりのほうれん草(冬採り)のエネルギーと主な栄養素は以下のとおりでした。

エネルギー 18kcal
鉄 2mg

レチノール活性当量(ビタミンA) 350μgRAE
葉酸 210μg
ビタミンC 60mg

ほうれん草には、通年採れるものと、夏採り、冬採りの3種類あります。冬採りのほうれん草は、通年採れるものの約1.7倍、夏採りの3倍のビタミンCが含まれています。また、鉄分は、18歳~49歳女性の1日の推奨量*の約19%を摂ることができます。しかし、ビタミンCも鉄分も茹でると減少してしまうので、茹ですぎないようにすることがポイントです。

*推奨量とは、ほとんどの人が必要量を満たす量のことを言います。18歳~49歳女性(月経あり)の鉄の1日の推奨量は、10.5mgです。

ほうれん草の種類


出典:PHOTO AC

ほうれん草の種類は様々ありますが、主な3種類を紹介します!

東洋種…葉の切れ込みが深く、やわらかくて甘い。
西洋種…葉が丸くて厚みがある。
交配種…東洋種と西洋種の長所をあわせ持った品種で、現在一般的に出回っている。

その他の種類…葉の表面が縮れているちぢみほうれん草、甘味が強いサラダほうれん草、若芽がベビーリーフとして知られる赤茎ほうれん草など。

新鮮なほうれん草の見分け方

新鮮なほうれん草を選ぶポイントは以下のとおりです♪

・葉が張っている
・肉厚で緑色が濃い
・茎が適度に太い
・根元に近い部分に葉が密集してボリュームがある

また、根本が赤いものが甘みが強いのでおすすめです。ぜひ、購入するときの参考にしてみてください♪


ほうれん草の保存方法


出典:PHOTO AC

冷蔵、生で冷凍、茹でて冷凍の3種類の保存方法を紹介します♪

冷蔵する場合

湿らせた新聞紙で巻き、ポリ袋に入れて野菜室で立てて保存する。

生で冷凍保存する場合
1.ほうれん草の根元に流水を当てながら土を流し、全体もよく洗う。
2.水けを拭き取り、3cm~4cmの長さに切る。
3.小分けにして冷凍用保存袋に入れ、空気を抜きながら口を閉める。金属トレーに乗せて急速冷凍する。

茹でて冷凍保存する場合
1.ほうれん草の根元に流水を当てながら土を流し、全体もよく洗う。
2.約1Lの熱湯に塩小さじ1を溶かし、ほうれん草の根元を熱湯に30秒間茹でた後、全体を沈めて20秒間茹で、冷水にとる。
3.しっかりと水けを絞り、3cm~4cmの長さに切る。
4.小分けにして冷凍用保存袋に入れ、空気を抜きながら口を閉める。金属トレーに乗せて急速冷凍する。

ほうれん草の加熱に最もいい方法は?

ほうれん草は茹でるとビタミンCが半減してしまいます。しかし、電子レンジ加熱による野菜のビタミンCの含有量についての論文によると、電子レンジ(600W)で1分30秒加熱した150gのほうれん草のビタミンC残存量は93%とのことでした。つまり、電子レンジ加熱は、茹でるよりも多くのビタミンCを残すことができるということです! 簡単でしかもビタミンCをたっぷり残せるのはうれしいですね♪

ニチレイのホームページに、簡単にできる電子レンジ加熱の方法があったので、それを少しアレンジして実際にやってみました!

ほうれん草を電子レンジで加熱してみた

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.ほうれん草1束(約200g)をよく洗い、根元を切り落として4cm~5cmに切る。濡れたまま耐熱ボウルに入れてふたつまみの塩をまぶし、ラップをする。

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2.500Wの電子レンジで3分30秒加熱する。(600Wの場合は3分間)



3.加熱後、すぐに全体をよく混ぜ合わせて余熱で火の通りを均一にする。混ぜ終えたらそのまま冷まし、触れるくらいの温度になったら絞って別のボウルに移す。



やってみた感想は…思った以上にとっても簡単でした!!
わが家では深めのフライパンに水を張り、沸騰させてからほうれん草を茹でていたのですが、それに比べると段違いに楽でした!
「電子レンジ加熱だと、アクが抜けなくてえぐみを感じるのでは…」と思っていましたが、塩を加えたことと水けを絞ったおかげでアクが抜け、味は茹でたものと大差がありませんでした!

ただ、上記で参考にした論文の電子レンジ加熱と今回試した電子レンジ加熱はそれぞれ方法が違うので、残存率は参考にならない可能性があります。なるべくビタミンCを残したい! という方は、切らずに株のままラップに包んで加熱し、冷水に浸して軽く絞るという方法が良いでしょう。

簡単にでき、しかもビタミンCも残るのであれば、これからは電子レンジ加熱を活用しようかなと思います♪

茹でたほうれん草のおすすめのレシピ

●ほうれん草とツナのチーズ和え



材料(2人前)
ほうれん草…1束(200g程度)
ツナ(水煮缶)…60g
粉チーズ…小さじ2
黒こしょう…少々

作り方
1.ほうれん草を電子レンジで加熱する。
2.ツナ水煮缶の水けをきり、1のボウルに入れ、粉チーズと黒こしょうを混ぜ合わせる。
3.皿に盛ってできあがり。

<1人前>
エネルギー 43kcal
たんぱく質 6.7g
脂質 1.1g
炭水化物 2.9g
食塩相当量 0.8g 
鉄 0.8mg
ビタミンC 56mg

※ビタミンCの量は、残存率93%で算出しました。

材料が4つだけの和え物を作ってみました! ツナと粉チーズのうま味がほうれん草の甘味を引き立てて、そこに黒こしょうのアクセントが入ることで、飽きずにぺろりと食べられます♪

また、ほうれん草の鉄分は、肉や魚に含まれている鉄分と比べて吸収率が低いため、ビタミンCやたんぱく質と一緒に食べると吸収率が高まるといわれています。このレシピでは、ほうれん草と相性の良いツナをあわせ、鉄分の吸収率アップを図りました! ビタミンCが多く残り、鉄分の吸収率アップが見込めて、しかも簡単に作れるこのレシピをぜひ作ってみてください♪


<参考文献>
野菜の生育状況及び価格見通し(令和3年12月)/農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/engei/211130.html
論文:電子レンジ加熱調理による野菜類のビタミンC含量の変化/著者 長島和子
https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900025009/KJ00004299239.pdf

【ほうれん草の冷凍保存】1ヵ月もつ!鮮度・風味を保つテクニック/ニチレイ
https://www.nichireifoods.co.jp/media/11466/

ほうれん草のゆで時間は「1分」がベスト! レンジ加熱や冷凍保存も解説/ニチレイ 
https://www.nichireifoods.co.jp/media/5223/

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