2022.01.11

食べる

【1個2000円】信長・秀吉・家康…三英傑が愛した干し柿【堂上蜂屋柿】1000年受け継がれる製造法と歴史を紐解く!

冬の寒さを利用して作られる干し柿のなかでも、ひときわ有名なのが岐阜県名産の「堂上蜂屋柿」です。前回は1個2000円(!)の干し柿を実際に食べて感動のおいしさを伝えましたが、今回は第二弾!「ここまで高級・高品質なゆえんはどこに?」ということで、生産現場を覗いたり、平安時代まで遡るという歴史に迫ったりしたいと思います。新年らしく、抹茶と合わせての“食レポ”もお届けします!


【画像を見る】歴史上の人物がこぞって食べてる!?「堂上蜂屋柿」

前回、『あたらしい日日』編集部から「1個2000円する干し柿があるんだけど、食べた感想を食レポしてみる?」と言われ、大喜びしたわたし。

「堂上蜂屋柿」食レポはこちら!

実際に食べてみると、まさに絶品。感動したわたしの頭の中は、次の日から堂上蜂屋柿のことばかり。「どうやったらこんなにおいしい干し柿が作れるの」「歴史が1000年以上あるって聞いたけど…」など知りたいことが山ほど出てきたので、詳しく調査してみました!



と、いうわけでまず調べたのが、堂上蜂屋柿の製造方法。岐阜県美濃加茂市特産の干し柿は、「蜂屋柿」という大きな柿を干して作られます。



製造するのは熟練の職人。収穫から天日干しなどの加工は全て手作業で行われ、40日間1日も休むことなく柿の状態や変化をチェックするそうです。

チェックするって、柿の様子を見て確認することかな?と思った方、少し違います。

たとえば、水分濃度を均一にするためにひとつひとつ手でもんだり、糖分が表面に美しく浮き出てくるように柿の表面を拭いたり…。



たしかにわたしが食レポするために食べた堂上蜂屋柿も、糖分の結晶がお尻の先までしっかりついていました!



干し柿って軒先で干すだけでは?と思っていたのですが、全然違いました。あの高貴な味には、こんなにも手間と時間がかかっていたんですね。

歴代の権力者が深く愛した、至高の干し柿

職人によって大切に製造される「堂上蜂屋柿」ですが、柿の名前にプラスされた「堂上」の2文字が気になります。

「堂上」という言葉は「天皇の日常生活の場に昇ることを許されたもの」という称号。堂上蜂屋柿は平安時代から朝廷に献上されていて、1000年以上前から最上級の干し柿だったんです。

さらに調べると堂上蜂屋柿の味に感動した室町幕府第10代将軍の足利義稙(よしたね)が、堂上蜂屋柿を献上した寺に「柿寺」という愛称を付けた、「蜂屋柿」という名前は源頼朝が「蜂の蜜のように甘い」と名付けたなど、たくさんの逸話が残っています。


室町幕府第10代将軍の義稙が「柿寺」と名付けた美濃加茂市にある瑞林寺(ずいりんじ)。今も「柿寺」という呼び名で地域の人々に親しまれているそうですよ。

しかも!日本の三英傑、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康にも堂上蜂屋柿にまつわるエピソードがあったので紹介しますね。

●織田信長:ヨーロッパから来た宣教師をもてなすために堂上蜂屋柿を振る舞った。
●豊臣秀吉:茶会の定番菓子として用いた。また、蜂屋柿を育てることを条件に蜂屋村の人々にそれ以外のすべての労働を免除した。
●徳川家康:堂上蜂屋柿が大好物で、堂上蜂屋柿が献上されるのを毎年楽しみにしていた。秀吉と同じく、蜂屋村の人々の労働を免除した。


堂上蜂屋柿に関する記述は多くの文献に残っています。江戸時代の文献「日本山海名物図会 5巻(寛政9 [1797]年 )」には堂上蜂屋柿がどのように作られるか、製造方法まで紹介されています!

遥か昔の平安時代から現在に至るまで、多く偉人から愛されてきた堂上蜂屋柿。今も食べることができるのは、嬉しいかぎりです。

最後に抹茶と合わせて、もう一度”食レポ”

作り方や歴史を一通り学んだところで、将軍・秀吉に倣い、抹茶と干し柿のマリアージュを楽しみたいと思います。

おうち茶会ということで、茶道を習い始めて間もない5歳の娘に、お茶を点ててもらいました。



鮮やかな橙色の堂上蜂屋柿と抹茶の緑色とのコントラストが美しい!これが三英傑に愛された極上の干し柿か…と感無量。柿の優しい甘みと抹茶の程よい苦味が織りなす極上のハーモニー…。まさに天下無双の干し柿です。



堂上蜂屋柿と抹茶を味わう娘も、ほっぺたを押さえて目を閉じ、余韻に浸って満足顔です。5歳でも、本物の味ってちゃんとわかるみたいです。

新しい年の始まりにふさわしい上品な味わいと伝統を持つ、堂上蜂屋柿をいただきました。今年はなんだかいいことありそうです♪

堂上蜂屋柿について、詳しく知りたい方はこちらをチェック!

参考ホームページ
「美濃加茂堂上蜂屋柿」https://www.hachiyagaki.jp/shiru/index.html
「国会図書館デジタルコレクション」https://dl.ndl.go.jp/

協力/JAめぐみの・美濃加茂市

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