2022.01.16

食べる

【原木しいたけ生産者が教える】食べきれないときの「裏ワザ保存術」!〝洗わずに冷凍〟で旨味アップ⁉

新鮮なしいたけは、できるだけ早く食べるのがいいことは知っているけれど、特売でどっさり買ったときなどは、一度に全部は使い切れないもの。でも、ご安心を。しいたけのおいしさを高める保存法があるんです。原木しいたけ栽培歴36年、年間1万人がきのこ狩りに訪れる大人気きのこ園の園主が、とっておきの冷凍保存の手順を伝授します!

【画像を見る】原木しいたけ生産者直伝!しいたけの裏ワザ保存法とは?



教えてくれたのは、東京都青梅市にある「内沼きのこ園」の内沼秀夫さん。
園では、もぎたてのきのこを炭火焼きで味わえるほか、園内のカフェでは、特製ピザなど、きのこをたっぷり使った料理を楽しむことができます。

では、さっそく保存のポイントを教えてもらいましょう。

鉄則 しいたけの軸は捨てない&しいたけは洗わないで

「しいたけの軸、切って捨てている人がいるようなのですが、歯ごたえがあっておいしいし、栄養もいっぱいなので捨てないでくださいね」と内沼さん。

もう一つのアドバイスは「しいたけは洗わないで」ということ。



「新鮮なしいたけには旨味成分が豊富。水洗いすると、ひだの部分から旨味が流れ出してしまうし、水分が入りこんで、旨味が薄まってしまいます」(内沼さん)。

これまで、その日の気分で洗ったり洗わなかったりしていたのですが、これからは洗いません!
きのこ類は、調理前に、表面についたホコリを払う程度でいいのですね。

冷凍すれば旨味アップ!3か月程度はおいしさキープ!

しいたけは、できるだけとれたてを味わいたいけれど、食べきれないときはどうしたらいいのでしょう。

「大丈夫ですよ。冷凍すると、もっとおいしくなるんです」と内沼さん。



「しいたけの菌は、原木からもぎ取った後も2日ぐらいは生きているんです。鮮度のいいうちに冷凍すると、菌が低温に対して自らが凍らないように反応し、旨味成分のグアニル酸が増すんですよ」(内沼さん)

丸ごと保存する場合は、固い石づき部分を切ってから冷凍します。しいたけから出る水分でくっつかないように、かるくラップでくるみ、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍するだけ。簡単!



また、軸を取り外し、傘の部分をスライスして冷凍するのもおすすめ。取り外した軸は、石づきをとってから裂いて、一緒に冷凍保存! 丸ごとと同様に、低温にさらされることによって、旨味が増します。



凍ったスライスしいたけは、使う量だけポキッと折って、解凍せずにみそ汁などの料理に入れられるので、便利!



冷凍丸ごとしいたけは、そのまま鍋に入れれば、煮物に使えます。炭火で焼くのもいいですね。「丸ごと」「スライス」の2パターンで常備しておくと、いろいろな料理に使えそうです。



原木しいたけには、旨味成分が1.5倍!

内沼さんは、36年前にしいたけ栽培を始め、きのこの研究者に話を聞いたり、資料を読んで調べたりしながら、しいたけの栽培技術を積み重ねてきたそうです。



ここで内沼さんから質問が。
「丸太の木に直接菌を植え込んでしいたけを発生させる『原木栽培』の生産量って、しいたけ全体の生産量のどれぐらいを占めるか知っていますか?」

うーん、わかりません。



「たった8%なんですよ。しいたけの原木の数が減り、値段も上がったので、手軽に入手できて価格も安い、おがくずなどを使った、工場などでの“菌床栽培”が市場流通のほとんどを占めているんです」(内沼さん)。

原木栽培のしいたけは、食べたくてもなかなか食べられないのが実状なのですね。



それでも、自然の力を借りた昔ながらの原木栽培を絶やしたくない、と内沼さんは大学の研究者とともに研究を行い、菌床栽培のしいたけと原木栽培のしいたけの成分量を比較したそう。



「原木しいたけの方が旨味成分のグアニル酸は1.5倍多いことがわかりました。また、軸の部分にはβ-グルカンという免疫力を高めることが期待される成分も含まれていて、このβ-グルカン量も1.5倍多かったんです」(内沼さん)。

すごい! しいたけは、旨味成分がたっぷりで、ビタミンD、食物繊維などの栄養成分も豊富ですが、原木栽培のものは、さらに旨味や栄養を蓄えているのですね。
スーパーや農産物直売所で、貴重な原木栽培のしいたけを見つけたら、冷凍保存して、その味を長~く楽しみたいと思います。


内沼きのこ園

内沼秀夫さん

希少な栽培方法である原木栽培を始めて36年。ナラの木の原木を使って自然の力を利用しながら、しいたけ、舞茸、ヒラタケなど様々な種類のきのこを栽培する。秀夫さん、妻の幸恵さん、娘の幸紀さんと3人の家族経営。園内ではしいたけ狩り体験(予約制)や、収穫したきのこをすぐに焼いて食べられる炭火焼きコーナー、きのこをたっぷり使った料理を楽しめるカフェ「ぴるつ」もある。
営業時間10:00~17:00(カフェは、11:30~15:00) 火曜定休(6~8月は水曜も定休)
※季節によって、営業時間が異なることがありますので、ご注意ください。
http://u-kinoko.jp/index.html

取材写真/松木雄一 保存写真/柳本操 取材協力/JA西東京

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